第5回 研究能力を使いこなす企業は強い?! 前編

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日本企業からデータを得るのはなぜ難しいのか

確かに、一流欧文誌に掲載される論文の中に「こんなデータ、日本じゃ無理だな」とか「こんなこと聞いても日本じゃまず答えてもらえないよなぁ」と感じるデータを見ることが少なからずあります。どうして日本企業の敷居は高いのでしょうか?

 日本企業からデータを得ることが難しい背景には、ビジネスの研究に協力することのメリットや必要性を日本の企業が感じていない、という状況があるように思います。

 言い換えれば、取材協力やデータ取得に協力して、なにがしかの結果が得られ、その結果を教えてもらったところで、それが価値あるものに思えない、ということではないでしょうか。これは裏返せば、そうしたビジネス研究で得られるデータを、企業内で必要としていない、ということになります。

 日本企業が自社のためのビジネス研究をほとんど行っていないことはデータで確かめられます。前出の「科学技術要覧 平成23年版」に企業における本務研究者数が示されています。それによると、企業の本務研究者数は全産業で534,568人、うち理学84,702人(15.8%)、工学411,353(77.0%)、人文・社会科学7,568人(1.4%)となっています。

 日本企業には、確かに、社会科学系の研究者はほとんどいません。日本企業はおそらく自社のビジネスの状況を研究していないのです。この状況が反映しているのであれば、研究力国際比較で工学に比べて経済学・経営学の研究力が劣るのはやむをえないことのように思われます。

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