第5回 研究能力を使いこなす企業は強い?! 前編

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産業界と連携があるほうが研究もよくなる?

前にも触れましたが、大学の研究者にとって、産業界との連携は大変重要です。実社会での最先端情報が入ってくるからです。筆者は、ベル(Bell)研究所の最盛期の最後である80年代後半から90年代初頭にBell研究所の研究者として働き、現在は米国の大学で教員として働いている科学者数人にインタビューをしたことがあります。

 ちなみにベル研究所というのは、AT&Tの研究所で、トランジスターやレーザーなど今日の電子産業を支える基盤技術の多くを開発し、6件のノーベル賞を受賞し、11人のノーベル賞受賞者を輩出した組織です。AT&Tの解体と共にその研究力は低下し、かつてのような、世界を牽引する研究所ではなくなってしまいました(現在も、アルカテル・ルーセント社の子会社として存続しています)。

 筆者が話を聞いた科学者たちに共通する意見の一つが、大学に入ってからは、最先端の産業界の情報が入ってこないので、社会のニーズがどこにあるのか知るのが大変だ、ということでした。学術的研究といえども、将来的に実社会へ与える影響が大きいだろうと考えられる研究成果の方が高い評価を得られます。

 高エネルギー物理や天文学など純粋に基礎的な分野を除けば、たいていの学問分野では、産業界との交流があるほど、大学研究者が良い研究を行う機会は増えるのです。

 よって、企業の協力がある方が、大学等の研究者は質の高い研究成果を出すことができ、論文の被引用数の増加が期待できます。大学等の研究機関にとっては、企業との連携は大変重要なことなのです。しかし、企業側から見て、そうした研究に協力することは、メリットのあることなのでしょうか? それに大学と企業が連携することが重要だとしても、企業内研究者はそのこととどのように関係するのでしょうか?

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