今回は富生のプロポーズを真由美が受けた後の話。婚約した2人は、一緒に指輪を買いに行った。彼女の両親に挨拶にも行った。富生の実家へ挨拶に行く日取りも決まっていた。その後、真由美の気持ちが変わった。富生が、その変化に気付き、「話し合いをしよう」と言っても、彼女はまったく応じなかった。そして、相談室を通して一方的に断りを入れてきた。
私は、連絡を入れてきた相談室の仲人に聞いた。
「婚約解消の理由はなんですか?」
「住む場所について、話がかみ合わなかったようです。住む場所だけでなく、だんだんとお互いに素の部分を出すようになってきたら、価値観が合わないと感じたようです」
イニシャル刻印をした指輪に市場価値はない
恋愛している恋人同士にしろ、婚約中のカップルにしろ、長年連れ添った夫婦にしろ、どちらかの気持ちが裏返ったら、関係修復は難しい。
婚約解消は、受け入れるしかない。ただ指輪に関して言うなら、先述した男性のようにまだ彼女の気持ちが決まっていないのに、サプライズで男性が勝手に贈ったものではない。一緒に買いに行き、一緒にデザインを選び、指輪のサイズ直しをして裏側には、2人のイニシャルを刻印した。
サイズ直しをしてイニシャル刻印をした指輪は、本人にとっては値段以上の宝物だが、市場価値にしたらタダも同然だ。以前結婚して半年で、男性のモラハラが原因で離婚をした元女性会員がいたのだが、数回しかはめていない鑑定書付きの50万円のダイヤの指輪を質屋に持っていったら、買取価格が5万円にもならなかったという。
私は、この話をして、相談室の仲人に言った。
「今回の件は、女性の気持ちが手に入れられなかった彼にも非がありますが、婚約解消の責任はフィフティフィフティですよね。しかも、婚約解消は女性からの申し出です。指輪は女性が買い取るという形で精算させてもらえませんか?」
そして、数日後に、指輪の代金が振り込まれた。
この3つのケース、いかがだっただろうか? 男女が付き合っていくうえでお金の問題はつねにつきまとう。また、関係が壊れたときに、それまでに支払ったお金、支払ってもらったお金をどうしていくのか、その精算の仕方はケースバイケースだが、とても難しい……。
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