2つ目は、「『自分視点』に縛られる」ことです。
相手が受け止めやすい「緩い球」を投げていますか?
「話す」とは「離す」こと。「自分が話したい話は伝わりにくい」ので、「自分(中心)視点」を「離す」ことから始めなければならないということです。
10年以上、企業幹部の話し方の「家庭教師」をしてきて、感じるのは、「言えば、伝わる」と思っている人があまりに多いことです。伝えて終わり。コミュニケーションが手段ではなく目的化しています。
もし「相手と心をつなぎたい」「わかり合いたい」「理解してもらいたい」と思うのであれば、「自分が言いたいこと」ではなく「相手が聞きたいこと」を伝えなければなりません。
なぜなら、人は「自分が聞きたいこと」「自分が知りたいこと」「自分に関係のある話」しか、受け入れようとはしない生き物だからです。
これは、「確証バイアス」と言われ、人は自分と同じ考えの情報だけを取り入れていく傾向がある、ということです。
気候温暖化、予防接種、政治的志向など、信念を持つ人は、その考えに矛盾する情報は一切受け入れず、合致する情報だけしか聞きません。どんなに「ファクト」「ロジック」「正論」をかざしたところで、「考えを変えることはとても難しい」ものです。
多くの人が、「自分視点」で言いたいことを言い、自分の正当性を主張したがります。しかし、そうした「剛速球」で悦に入るやり方では、相手の心の扉は開きません。
「相手が聞きたいこと」「相手が知りたいこと」を見極めながら、受け止めやすい「緩い球」で対話のキャッチボールをする。これこそが、心をつかむ「コミュニケーションの神髄」なのです。
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