大阪信金流「産学連携」術、社員を大学に常駐させ“扇の要”に

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目利き能力向上のために、同白書は金融機関に対して、人材の研修や能力開発支援に加え、業界団体との連携などを促進すべきと指摘しているが、この指摘はすでに大信が構築している内容とも重なっている。

大信が進める産学連携について、信金中央金庫総合研究所の鉢嶺実上席主任研究員は「業界でもトップクラス」と太鼓判を押す。金融機関と大学双方で産学連携のための枠組みはできても、肝心の企業とのマッチングがうまくいかないケースは多い。その点で、すでに実績を上げている大信の活動は全国の金融機関の中でも際立つ、と言う。

特に、社員が大学に常駐していることは「00年以降続くリストラで、金融機関の社員数が減っている中、あえて外部に人を置くことは簡単ではない」と、産学連携に対する大信のスタンスを高く評価している。

事業につながる産学連携 金融機関の重要な使命

なかなか成果が顕在化しない産学連携は、これまで“社会貢献”の域を脱することができなかった。その点、大信の産学連携は、きちんとビジネスにつながっている。

産学連携コーディネーターの島崎公伯・大信調査役は、「中小企業には相談相手が少ない」と指摘する。裸一貫、自らの知恵や技術を武器に事業を営む経営者たちが欲しているのは、その技術に対する“裏付け”だ。前出のシケンのように、自分の推論やカンは本当に正しいのか。あるいは、自社の技術がどのような意義を持つか、基礎科学面で実証を得たうえで、正々堂々と売り出したい--。そうした思いが非常に強い。

とはいえ、多くの中小企業にとって大学や研究機関とは縁も薄く、心理的なハードルも異常に高い。かといって、同業者に相談すれば模倣されるリスクもある。資金面でさまざまな公的支援策は一応あるものの、「何やらようわからん、申請するのも面倒くさいと思っている企業が少なくない」(島崎調査役)という。

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