就活は「オンラインで成果」が求められる時代だ 企業はオンライン・インターンシップに手応え

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インターンシップ2日目の模様を見学したが、仲間意識が強く一体感のあるグループが多く見受けられた。事前顔合わせの効果によるものと思われる。

2つ目の工夫は、意識的に社員とのコミュニケーション機会を増やした点だ。「JCBで働く人の魅力を伝えることも今回の目的の一つ。そこで社員と接触する場をいつもより多く設けた」(横手氏)。3日間のインターンシップ開催時には、チームごとに人事部からメンターが付き、定例のミーティング以外の時間でも連絡していいことにした。また、担当官だけでなく、人事部の部長や次長、他のメンバーもオンラインミーティングに訪れて声をかけるようにした。

独特なのは、人事部メンバーが手書きで記したメッセージカードを参加者140人すべてに送付したことだ。選考会で話した時の感想や激励の言葉などを書いて郵送し、指示があるまで開けないように伝え、2日目の夕方に開封してもらう時間を設けた。

「これが好評で嬉しくて涙を流す学生もいた。だいぶ手間はかかっているがデジタルの時代だからこそ、一人ひとりへあてた手書きのメッセージが心に響いたのだと思う」

また、今回のテーマに掲げた3カ国で実際に働いている海外駐在員と話せる機会もつくった。学生の反応が非常に良く、質問がとまらなかったそうだ。「オンラインだからこそできることはないかと考えて、海外駐在員を登場させることを考えついた。ワークに関する質問のほか、海外での働き方や生活などの質問も出て就活生にとって良い情報収集の機会になっていた」(横手氏)。

オンラインでの仕事能力が重視される

このような工夫を重ねたことで、アンケートの満足度は、昨年のオフライン時よりも高くなった。

「『人事の方が3日間つきっきりで見てくれた会社は他になかった』『手書きのメッセージがうれしかった』など、人間的つながりの部分を評価してもらい、学生に寄り添う姿勢が重要だと再認識した。オンライン化により、学生の参加機会を均等に保て、短時間で効率的に参加してもらえるというメリットに加え、コミュニケーションの取り方やワークの進め方などが大きく変わるという良い面があると感じた。学生に寄り添いつつ、オンラインの長所を生かしたワークショップやインターンシップを実施していきたい」

2社の例を見てみると、「地方からの参加者が増える」「インターン生の働く様子がよくわかる」といったメリットも見えてきた。オンラインにすることで、参加者の宿泊費や交通費などを負担する必要がなくなり、経費節約につながる面もある。WHIもJCBも、オフラインと融合するなどの形で、オンラインインターンシップの継続を検討するという。

オンラインインターンシップの可能性が広がったことでコロナ収束後も継続する企業が増えると思われる。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)が普及し、仕事そのものがデジタル前提にシフトする中、学生もオンライン上で自分の能力を発揮する必要に迫られている。「オンラインを制する者が就活を制する」時代になってきたといえるだろう。

杉山 直隆 オフィス解体新書・代表

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すぎやま なおたか / Naotaka Sugiyama

1975年生まれ。専修大学法学部卒業後、カデナクリエイト入社。ビジネス誌やビジネス書、企業の社内報・PR誌の執筆・編集を主に手がける。2016年に独立(屋号:オフィス解体新書)。社会人インターンシップ情報を紹介するブログメディア「30歳からのインターンシップ」を立ち上げ、取材活動をしている。共著に『課長・部長のための労務管理 問題解決の基本』『図解&事例で学ぶ入社1年目の教科書』『クイズ商売脳の鍛え方』など。

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