角川春樹が激白「今の映画は冒険をしていない」 最後の監督作「みをつくし料理帖」にかける思い

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――そこで企画が始動したということですか。

記者会見はしなかったのですが、2年前の9月18日に、髙田郁さんの作家生活デビュー10周年を記念した会を大阪でやったんです。その会に出席したときに、『みをつくし料理帖』を角川春樹製作・監督でやりますと宣言したんです。ただ髙田さんが(黒木華主演の)NHKのドラマ版を気に入っていて。映画化をするなら脚本もキャストも同じメンバーでやってほしいという意向がありました。

まずは黒木華さんのスケジュールを確認したんですが、舞台があるので、映画のための時間が取れないということがわかった。シナリオライターも時間がとれない。全部ダメだということで、1から仕切り直すことになった。では主演を誰にするか、あさひ太夫を誰にするかということを話し合いました。

――その結果、澪役に松本穂香さん、あさひ太夫役に奈緒さんという布陣となりました。

去年の2月に松本穂香と奈緒をそれぞれ個別に呼んで、話をしたんです。それで去年の8月にクランクインして、9月にはクランクアップするという日程にしました。そこに合わせて往年の角川映画のスター、全員をそろえようとしたんですよ。

ただ原田知世は、日本テレビのドラマ「あなたの番です」をやっていて彼女だけは呼ぶことができなかった。しかし薬師丸ひろ子、渡辺典子は出演することになりました。

「マジック」で女優をブレークさせる

――角川監督といえば、女優の抜擢に定評があります。今回は松本穂香さんと奈緒さんを抜擢していますが、どういうところを見て、この人だと感じるのでしょうか。

なかなか説明しづらいのですが、全部直感なんです。今まで(薬師丸)ひろ子、(原田)知世にしても、安達祐実、宮沢りえ、浅野温子にしても全員オーディションなんですよ。そこですべて決めています。だから特に女優の場合だと、より勘がさえるんですね。

本作の配給が東映に決まった当時、営業部長から、主演の2人に関しては、特に奈緒さんに関してはまったくの新人ですということを言われました。でもその人と仕事をやるのは初めてだったので、私の「マジック」の力がわかっていなかった。まずは「間違いなく公開までに2人をブレークさせておくから心配ない」と言ったんですよ。

主演のひとり澪役を演じるの松本穂香 Ⓒ2020映画「みをつくし料理帖」製作委員会

――確かに2人とも今年は、非常に多くのテレビ、映画に出演しています。

それがわたしの「マジック」です。それは女優さんだけでなく天候から何まで、スタッフみんながマジックにかかった状態で仕事をしたんですよ。ずっと雨が1週間降り続いていた時も、わたしの力で全部晴れさせたりとかね。気象庁の予報よりも俺を信じろと(笑)。

今回の町医者の源斉役で出演している小関裕太もブレーク中ですよね。2人の女優に関してはマジックをかけてブレークさせようと思っていたけど、彼のブレークは想定外でした(笑)。

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