小6女児が「暴行罪」バレー監督と闘い続ける訳 母親が語る「恐怖の保護者会」と「娘のPTSD」

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小学生の女児が受けたバレーボールクラブでの「暴力」。その実態とは?(写真:ツキオカデザイン / PIXTA)

女児への暴力の疑いで起訴されていた大分県の強豪小学生女子バレーボールクラブで指導していた男性監督が10月19日、暴行罪で罰金10万円の略式命令を受けたと報じられた。

監督は町立小学校の教師で、2019年6月に当時6年生の女児を平手打ちし、保護者が警察に被害届を提出していた。発覚当初、県小学生バレーボール連盟(県小連)や、クラブの一部の保護者が隠蔽に走るなどしたため、耳目を集めた事件だ。

監督は、このクラブで長年にわたり指導にあたってきた人物。2020年4月に同町教育委員会から訓告処分を、5月には上記の暴力を調査確認した県小連より永久追放処分を受けている。

日本スポーツ協会と日本小学生バレーボール連盟に監督の暴力を告発した、当時同クラブで指導していたコーチは「それ(女児らへの平手打ち)以外にも、暴力やパワハラがあった。(監督は)公の場では体罰はダメと言いながら、体罰をし続けてきた。指導のなかで何度も見てきた。(罰金10万円の)処分は甘すぎる」と憤る。

示談交渉を取りやめた理由

被害女児の母親によると、今年6月の書類送検以来、示談を目指し監督サイドと話し合いを続けてきた。県小連の処分にのっとってバレー指導から離れるよう申し入れをしたが、指導停止期間を3年にすることや、示談金額のダウンを要求された。女児の両親は監督が反省していないと判断。女児本人も「許したくない」と言ったため、示談交渉を取りやめたという。

「反省のかけらも感じられなかった。今も地元でバレーボールを続けている娘の未来を考え、示談をやめました」と母親は心境を吐露した。

口さがない地元の人たちから「平手打ちたった一発で騒いで。親が悪いんだろう」と言われ、女児も家族も傷ついた。彼女はその後、PTSDを発症した。何が12歳のこころを壊したのか。

このクラブでは、放課後の練習後に体育館で夕食を食べてから、時には22時前後まで小学生たちが練習していた。この「夜練」、周囲に漏れないよう廃校で行われていた。保護者のひとりは「監督は怒ると子どもの首根っこを掴んで、頭や頬を床に押し付けたりした。上級生の親からはもっと酷い体罰についても聞いている。指導を見ていても、ご自身が勝ちたいだけ、自分のプライドのために結果が欲しいのだと感じた」と話す。

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