小6女児が「暴行罪」バレー監督と闘い続ける訳 母親が語る「恐怖の保護者会」と「娘のPTSD」
なぜなら、レギュラーがコートの半分で練習する場合、多くのチームは補欠の子たちを反対のコートでプレーさせる。だが、監督はそれをせず球拾いさせることが多かったという。
被害女児はチーム一の長身で、小学5年生からバレーを始めたものの、6年生になってレギュラーチーム入りした。
2019年の6月10日。夜練の途中で、監督が「気合が足らない」と怒鳴り始めた。被害女子を含む3人が「外で走ってこい」と出された。夜の20時前後、照明もなく雑草が膝まで伸びた廃校のグラウンドを10周ほど走らされたあと、「声が小さい」という理由で女児ともう一人が頭を叩かれた。かなり激しい平手打ちだったようで、女児はよろめいたそうだ。
「見学していた他の保護者から連絡をもらって私が駆け付けた時は泣きやんでいましたが、すごくショックを受けた様子だった」(母親)
大きい大会の前になると、保護者の見学を一部の親が立ちはだかって止めることもあった。密室練習に不穏な空気を感じた女児の母親が「大丈夫でしょうか?」と他の親に尋ねると「(監督は)最後のとどめは刺さないから大丈夫だよ」と言われた。そして、「目標は全国大会に行くことだからね」とささやかれた。
「耳を疑いました。もしかしたら激しい暴力があるのではないかと思いましたが、多勢に無勢でなかなか踏み込めないでいたら娘のことが起きてしまった」
ひとりの子が叫んだ「意外な一言」
女児が叩かれた夜。母親が体育館に到着すると、レギュラーではない子どもたちが「大丈夫?」と慰め、女児は「叩かれちゃった」と言いながら泣いていた。
すると、ひとりの子が目を見開いて叫んだ。
「そんなこと、大きい声で言わないで!誰かに聞かれたら、全国大会に行けなくなるでしょ!」
こうした環境は、子どもたちの分断をも招いてしまうのだ。
母親が翌日、電話で監督に「どういう気持ちで叩いたのか」と尋ねると、「声が出ていなかったからだ。気合を一回入れて、頑張ってほしいという気持ちだった」と答えた。二度と叩かないと約束はしたものの、一言も謝罪はなかった。
その後、この話が外部に漏れた。母と娘の本当の地獄は、そこから始まった。
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