これがゼンショー流の成り上がり術だ

ゼンショー・小川社長が語る経営哲学(2)

そこから今度は社内体制もその案件の審査ということでだんだんノウハウが蓄積してきて、速い判断ができるようになって、97~99%断るわけだけれども、いいものを自分たちで選べるようになって、それがその後のM&Aの成功確率を高めてきました。

――いっぱい来て厳選と。

そうです。世間から見ると、ゼンショーはダボハゼみたいにいっぱいやっていると思われていたんだけれども、実は氷山の上に出ている部分は非常に小さくて、水面下で厳重な審査をやってきたということですね。

われわれには独自のノウハウがある

――たとえば吉野家に比べるとM&Aの案件はいいのがゼンショーはあると。秘訣みたいなのはあるんですか。

今言ったように、立地についても、業態の評価についても、人材の評価についても、商品の評価についても、専門のスタッフがきちっとした審査をやるという体制を社内的に作ってきたわけです。その上で、トップマネジメントはトップマネジメントとしての長期的な視点に立った判断をしてきたわけです。この業態はわれわれとしてやるべきか否かという経営判断をやってきたわけです。

僕は「ソフトウェアの時代」と言っているんだけれども、要するにソフトウェアですね。M&Aの対象企業の判断をするソフトウェアを整備してきたし、充実させてきたということが、審査能力、そしてアフターM&Aの対応能力を高めてきたわけです。

だから、外から見て、ゼンショーがM&Aをやって伸びているからウチもみたいな動き、追随が出てきたわけですけれども、それは現象としてM&Aを見ていたんじゃないかなと思います。M&Aをすれば成功する、企業規模がドラスティックに大きくなるんだ、じゃあ負けずにやろうというような追随がいっぱい出てきましたよね。それは失礼だけれども、本当に審査能力はあるんですか、アフターM&Aの受け入れ能力はあるんですか、というところではどうなのかなと思っていました。詳しくは知らないですけれども。

――もちろんM&Aで成長を加速させたいということでしょう?

うん。

――その一方で、第1次牛丼安売り戦争が2001年に起きますね。M&Aと安売り戦争は並行してですか。

そうですね。おっしゃるような牛丼の中での価格戦争ですが、それはそれで牛丼カテゴリーをゼンショーとしては絶対伸ばせると考えていたし、牛丼を保守本流として俺が伸ばしていこうと。マーケット改革をやっていこうという意識でしたから、それはそれで積極的にやってきたわけです。

ココスを買収したときは200店舗だったんです。今、ココスブランドが580店、直営で500店弱まで伸ばしているわけです。それぞれの業態の質を高めながら展開するには、商品力であるとか、オペレーション力であるとか、資金力であるとか、企業としての力が必要なんです。だから、そういう力をつけながら展開していくということ。ココスもそうやってきた。次に買収したグループであるビッグボーイもそうです。

そういうことで、それぞれのカテゴリーにおいて戦略的に位置づけ、そして成長戦略を描きやっていくんだということが基本ですから、牛丼もファミレスもそういうふうにやってきた。

――牛丼の第1次安売り戦争は吉野家が仕掛けたということですか。

いや、これはすき家と松屋と吉野家、この中で価格についてもそれぞれ思惑があって、2001年のときは、松屋、すき家、それから半年たって吉野家が追随してきたわけです。松屋、すき家が相前後して280円という価格を打ち出して、それから半年くらいして吉野家さんが追随してきた。

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