これがゼンショー流の成り上がり術だ ゼンショー・小川社長が語る経営哲学(2)

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

だって、英国ではBSEで100人死んだわけですよね。新型クロイツフェルト・ヤコブ病と言われる、脳に巣食って異常プリオンが増えて、大脳がスポンジみたいになるんです。だんだん認知症みたいになって、かかったら100%死ぬ。それを本当は阻止しなきゃならない。

原因が肉骨粉で、英国中の牛に異常プリオンを拡散したということがわかって、国内で肉骨粉の使用を禁止したわけです。だけど、輸出を禁止しなかった。だから、年間何万トンも輸出するようになったんです。業者からすれば、そうですよ。国内で売れないからね。もっと言うと、今のうちにと思ったかどうか知らないけれども、輸出して、それで世界に拡散したんですよ。

われわれは、これは定量的にも、時系列的にも、全部調べたんですよ。そしたら、これが日本にもイタリア経由で入っていたわけです。イタリア人は「これは東洋にぶちまけてやったよ」みたいな言い方をしていたんだけれども、欧州からするとやっぱり差別意識があるんですよ。それがシンガポールに入り、それから日本に入りと、世界に異常プリオンが輸出されたわけですね。

それはともかく、そういう経過でBSEが拡大していたんだけれども、豪州は輸入してなかったから世界の中でいちばん安全と。だから、安心してお客様に出せるなということで、以後、豪州産のフィードロットした牛肉を使った新牛丼ということを軸にしてすき家をやってきたわけです。

米国産については、現地に調査に行って、僕も実際、フィードロット、肥育しているところとか、と畜して肉を加工するところを何カ所も見て、ダメだと。

なぜなら、一つは危険部位、脳とか、目玉とか、回腸遠位端部とか、異常プリオンが集積すると言われている場所、それから脊髄液、そういうものの処理をちゃんとやっているのかなというので見に行った。バンドソーで背骨から割るんだけれども、確かに吸引しているんです。

しかし、それがものすごくいい加減。こんな大きい牛の脊髄液ですよ。1日5000頭くらい処理するのが、米国の大手の食肉工場なんです。5000頭を半割りにするから、1万の枝肉の背骨からバキュームしているけれども、だらだら脊髄液がたれているわけですよ。それで吸引していますと。米国らしいです。やっているんだと。

もう一つは、背割りにしている電気ノコがあるわけですが、それをこんなにでかいバケツに漬けるわけです。それを見ると、たまり水なんです。これはよけい危険ですね。もし1頭、BSEの牛がいて、背骨をこのカッターで切って、この水に刃を漬けて、また次のをやるわけですね。この水に異常プリオンが含まれているわけで、それを次々とほかに付けていくようなもの。

それから、吸い取った脊髄液と脳はつぶして、パイプで搬送されるんだけれども、それがどうされているのかと。これを現地でしつこく追いかけたけれども、現地の工場も見せたくないわけです。だけど、これはわれわれとしては見ないとまずいんだということで追いかけていくと、工場から外にパイプが出ていて、下にトラックが来るわけです。そこに脊髄液と脳のつぶしたのが霧状になってだらだら積みこまれるわけですね。

じゃあ、このトラックはどこへ行くんだと。それをトレースすると、レンダリング屋だと。レンダリング屋でどうなるんだというと、一つはペットフードに混ざる。もう一つは飼料、家畜のえさになる。

この危険部位を牛に与えることは、当時、米国の法律でも禁止されていたんです。だけど、牛以外の動物の飼料に使う分はフリーパスだという法律だったんです。日本は全部禁止です。家畜の飼料にしてはならない。当たり前でしょう。危険部位という名前をつけているんだから。

そうすると、一つは、家畜、豚とか七面鳥とかに食べさせていいのかと。そして、もしそっちは大丈夫だとしても、飼料工場で牛の飼料と豚の飼料とコンタミネート(汚染)の可能性があるじゃないかと。

調べてみるとやっぱりあるんです。午前は豚のエサを作って、午後は牛のエサを作るとか、あるいはラインが平行して流れていたり。いずれにしても、原材料の置き場から始まって、汚染されちゃうんです。アメリカ人は厳格にやらないですから。

牛のエサも汚染確率が非常に高い。それから、ほかの家畜のエサにしていいのかどうか。日本では法律で禁止されている。それから、ペットだからいいというのもおかしいじゃないか。猫とチューしたり、犬だって猫だって人間と一緒に暮らしているケースが多いわけですから、人間の食べ物とか、人間の手が汚染されて口に入ったりとか、そういうリスクは当然あります。

ということを考えると、アメリカは畜産大国として、もっときちんとしたBSE対策をやるべきだと。これが僕らの結論だったんです。

(撮影:今 祥雄)

梅沢 正邦 経済ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

うめざわ まさくに / Masakuni Umezawa

1949年生まれ。1971年東京大学経済学部卒業。東洋経済新報社に入社し、編集局記者として流通業、プラント・造船・航空機、通信・エレクトロニクス、商社などを担当。『金融ビジネス』編集長、『週刊東洋経済』副編集長を経て、2001年論説委員長。2009年退社し現在に至る。著書に『カリスマたちは上機嫌――日本を変える13人の起業家』(東洋経済新報社、2001年)、『失敗するから人生だ。』(東洋経済新報社、2013年)。

この著者の記事一覧はこちら
二階堂 遼馬 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

にかいどう りょうま / Ryoma Nikaido

解説部記者。米国を中心にマクロの政治・経済をカバー。2008年東洋経済新報社入社。化学、外食、ネット業界担当記者と週刊東洋経済編集部を経て現職。週刊東洋経済編集部では産業特集を中心に担当。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事