大学は学歴から「学習歴」が問われる時代になる

単位互換進み大学名だけでは評価できなくなる

今後、大学における教員は、従来型の「ティーチ」よりも、学生に寄り添って伴走しながら個々人の学びをサポートする「コーチ」へと存在意義が変容していくだろう。したがって卒業した大学・学部・学科のほかに、「学習歴」として誰が教員か、何を受講したか、どのような評価を受けたかといった情報を総合的に参照する時代となる。

近年は企業においてもタレントマネジメントの手法が広まり、新しい人材育成の方法論が定着している。これと同じように、大学の運営組織は学生情報をデータプラットフォームに乗せてアナリティクスを行い、必要に応じて関連する組織にそうした分析情報を提供できるようマネジメントしていくことが求められる。

もちろん大学の機能として、研究者的な教員には引き続きその役目があり、従来型の講義を提供する教員の重要性も変わらない。従来の教育者や研究者とは異なる、「コーチとして振る舞う教員」という第3の教員タイプの役割が必要になってくると思われる。

ジョブ型雇用が学習歴社会後押し

保護者の世代が大学生だった以前と比べて、現代の大学の学習環境や社会情勢は大きく変化している。企業の採用・雇用の形態も変化しており、ジョブ型に移行した場合は「どこの大学を卒業したか(学歴)」ではなく、より明確に「何を学んだか。今は何ができるのか(学習歴)」が問われるようになる。これが人材流動化の時代の特徴といえるだろう。

企業が変化するのと同時に、大学は「出口(卒業する学生の姿であり、その人材の行き先となるマーケット)」をどう定義しているかが不可欠となる。こうした現実は、実は地方大学にとってチャンスでもある。自学のユニークな点や特徴に輪郭を与えて明確にし、受験生や企業へアピールする戦略がより一層重要となる。こうした変化を先取りしながら、大学を変革していくことは、少子高齢化の時代において自学が生き残るための最適な解となるだろう。

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