ワタミが「焼肉」へ大胆転換せざるを得ない事情

ウィズコロナ戦略で居酒屋の3分の1を新業態へ

結果を言えばそれまで9人必要だった従業員が4人でお店を回せるようになったそうです。スタッフ1人当たりの売り上げは、2018年と2019年の比較で2.2倍になった一方で、1日当たりの従業員の労働時間はそれまでの16時間から9時間半へと4割減ったといいます。つまりお店の生産性が画期的に向上したのです。

村山太一さんの書かれた著書『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? 偏差値37のバカが見つけた必勝法』(飛鳥新社)を読んで私も興味を持ってラッセに出かけてみたのですが、確かにお店は4人で回っていました。フロアが2人、厨房が2人、それでもサービスにまったく不満を感じませんでしたし、食事の内容については大満足でした。

わたしたちコンサルティング業界の用語で、顧客の付加価値にならない業務を発見してその仕事をカイゼンする手法のことをバリューエンジニアリングと言います。高級飲食店の場合はこのバリューエンジニアリングの余地がかなりあるようです。例えばラッセの場合、テーブルクロスのアイロンがけをやめて、しわ伸ばしスプレーで済ませるようにしたのですが、これはバリューエンジニアリングの実例です。

居酒屋チェーンのブレークスルーが業態転換か

飲食店の厨房にはグリストラップという油や野菜クズなどが下水に流れるのを防ぐ装置があります。通常のお店のグリストラップは掃除が大変でラッセでも週3回3時間かけて油でぎとぎとになった装置を掃除していました。サイゼリヤにはその掃除が9分で済むグリストラップがあったそうです。一般の飲食店が週9時間、本来はやらなくてはいい作業をしていたことが、サイゼリヤとの比較でわかったという事例です。

ラッセのカイゼンにはさらに奥深いものがあるのですがここではこれくらいの紹介にとどめておきます。ひとことでまとめると、一般の飲食店には生産性という観点でいえば大きな生産性改善の余地があるのです。

ただ、私もコンサルになる前はマクドナルドで働いていた経験があるのでわかるのですが、大規模飲食チェーンではこのようなエンジニアリングはかなり進んでいて、一般の飲食店と比較すると生産性の改善の余地は大きくはありません。ですからウィズコロナで需要が7割になったら従業員も7割に減らすというのはなかなかできないことです。

そこでブレークスルーになるのが業態転換だということなのかもしれません。居酒屋と比較すれば焼肉店の運営は従業員の人数が少なくても運営できます。

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