この原稿を書いている時点で、プロゴルフ界ナンバーワンはスチュワート・シンクである。ナンバーツーはイアン・ポールターだ。ゴルフの成績ではない。実はこの順位は「ツイッター」でのフォロワー数ランキングなのだ。
ツイッターとは140文字で書くミニ・ブログのようなものだ。自分のつぶやきをネットで公開する。それをフォロワーと呼ばれる読者がリアルタイムで読むことができるというものだ。
シンクとポールター、それぞれ130万人と98万人の読者がいる。固定的なファン層だと考えてもよいだろう。
賞金だけではなく、広告収入も重要なプロゴルファーにとってみると、ファンサービスは欠かせない。これまでもコースでサインの求めに気楽に応じる選手は多くいたが、アメリカの最先端ではネット化が進んでいるのだ。
これまでのブログはある程度の文章量が必要だった。移動と試合が続くプロにとってみると、荷が重かったに違いない。実際、石川遼はオフィシャルサイトを持っているが、ブログ更新は元旦付の記事が最後だ。ライバルの池田勇太はブログそのものを持っていないようだ。
ところがツイッターは、いわば1行コミュニケーションだから、試合中でも送ることができる。
実はパーカー・マクラクリンという選手が試合中に携帯電話からツイッターでつぶやき、PGAから警告を受けている。試合中の電子機器使用はルール違反だったのだ。
アニカ・ソレンスタムもツイッターを開始した。すでにゴルフスクールやコースデザインなどを手掛ける、実業家アニカは立派なビジネス用オフィシャルサイトをもっている。しかし、ツイッターでは娘の1歳の誕生日についてつぶやき、気軽にスナップ写真を掲載しているのだ。
オフィシャルサイトの写真はプロによる現役時代のものだ。しかし、ツイッターに登場するアニカは少し太ってしまったようだ。あこがれのプロを身近に感じることで、さらに人気がでてくるだろう。
選手のツイッターだけではない。PGAはiPhone用の無料アプリケーションなども用意している。試合中にリアルタイムで全選手のスコアを知ることができる。もちろん動画も見ることができる。ノーザントラスト・オープンのファイナルラウンドのハイライトを収めた動画のトップは石川遼だった。
放送の分野でもPGAの試合であれば、日本にいても石川遼が出場する試合を生中継で見ることができる。ゴルフネットワークが放送している。
日本における放送と通信のソフトは決定的に遅れてしまった。もはや追いつけないかもしれない。日本のファンはダイジェストされた録画を見ながら想像力を働かすしかないのだ。
1955年北海道生まれ。アスキーなどを経て、91年マイクロソフト日本法人代表取締役社長。2000年に退社後、投資・事業開発コンサルティングのインスパイアを設立。趣味はジャズレコード収集やプラモデルなど多数。無類の読書家としても有名、書評も多く手掛ける。
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