太田光「負けた時に悔しがれる人間感情の尊さ」 テクノロジーが進化しても変わらない人間根幹

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太田光氏がAI脅威論に反論する(写真:扶桑社提供)
「世間の常識」に異議あり――。「ウィズコロナ」の新しい日常を考えていくヒントがちりばめられた、爆笑問題・太田光氏の書籍『違和感』から一部を抜粋・再構成し、太田氏のメッセージをお届けします。

「AIで仕事がなくなる」は本当か

AIが人間の仕事を奪うと言われているけど、それってどうなんだろうね? 「10年後になくなる仕事リスト」みたいなものに不安感を募らせる世間のムードに、俺はちょっぴり違和感がある。

爆笑問題で日本の文化とか技術を紹介する番組をやってたんだけど、そのなかでも最新のAIを導入した工場では、なくなった仕事もあるけど、新たにうまれた職種があった。これは欧米にはない、日本ならではの特徴だと思うんだけど、オートメーション化された先の「確認」は人間がしていたから。

その例だけじゃなく、ドラマ『下町ロケット』のようにNASAに提供するような最先端の部品を、弱小どころか超弱小工場の日本の職人が手がけてもいる。

もっと身近な例もある。俺は競馬場に行くといつも思うんだけど、オッズ表ってあるじゃない? あれって、いまでこそコンピュータを使って瞬時に弾きだされるけど、昔はどうやって計算してたんだろうと想像するわけ。じゃあ、コンピュータの導入によって、競馬の仕事にかかわる人が劇的に減ったかというと、そうでもないはずだから。

仕事がなくなるか否かというテーマとは別の視点から考えてみると、たとえばレンタルビデオ店の接客が人ではなく専用機となりオートメーション化されていることに対して「やっぱりぬくもりのある対人の接客がいい」と感じる人がいるかもしれない。

でも、テクノロジーの進歩のおかげで、LINEなどのSNSで他人とつながってぬくもりを感じられている人も増えているはず。つまり、AIの功罪といっても、さまざまな側面があるわけで、一方的に「AIで仕事がなくなる」「AIはぬくもりがない」という論調って、どうなんだろうなぁと思ってしまう。

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