65歳以上まだまだ働きたい人の快活な求人事情 来春の法改正で本格的な「70歳現役社会」に突入

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派遣先を開拓するのは約100人の税理士。「経理担当者が産休でいなくなる」といった顧問先の困り事を知っているからだ。手形・小切手業務、原価計算、消費税申告業務など、「スキルシート」に自分ができる業務をチェックしてもらい、時給を決める。

問われるのは経理財務の知識や経験で、年齢を問われることはない。週数日だけ働きたいシニアと毎日くるほどの仕事量はない中小企業の相性はいいという。

『週刊東洋経済』は10月12日発売号で、「定年消滅」を特集。来るべき生涯現役社会を見据え、その時代的背景や企業、個人が取りうる対策などについて、ふんだんな実例を基に詳報している。

勤務先が用意したレールが社外にも広がったケースもある。2002年に設立されたヤマト・スタッフ・サプライの尾崎幸嗣社長は、「OBのやりがいのある職場の提供、地域の課題解決、ヤマトグループの課題解決の3つの切り口で展開している」と話す。

フルタイム、パートタイマーを問わず65歳になると、まず派遣スタッフとして登録。本人の希望を聞きながら、例えば軽い荷物の仕分けの担当にするなど現場は配慮して受け入れる。現在はOBでない一般人も登録することができる。

「もう少し運転したい」「独立したい」という人には、軽貨物フランチャイズ(加盟金無料)で独立する道も用意。リースやローンを組む際のサポートもする。病院や介護施設、企業などの送迎サービス事業も手がけ、ドライバーとして活躍する道も用意した。サービス介助士の資格が必要な人は、同社負担で取得できる。

ギャップ解消には自己分析を

宅配ロッカーやカーシェアリングの車両の清掃、全国津々浦々にスタッフがいることに着目した地域限定、もしくは全国規模の仕事も舞い込む。派遣で働く人が、空いた時間に業務請負の仕事をしても構わないという。

東京しごと財団が運営する「東京しごとセンター」には、人材紹介会社に登録しても仕事が見つかりにくい人が多く訪れる。希望職種と求人とのギャップが多く見受けられるが、「何のために仕事をするか、どの程度働きたいか、家計の見通しも含め自己分析できている人は早く就職できる」と担当者は話す。

「週2日くらい働きたい」「培った経験を若者に伝えたい」「専門性を活かしてまだまだバリバリフルタイムで働きたい」……。体力、知力、経験、考え方、能力などが人によって異なるシニアの望む働き方は多様だが、ニーズに合った働き方が徐々に広がっている。

「定年消滅」特集は『週刊東洋経済プラス』でも掲載しています。
竹内 三保子 カデナクリエイト

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たけうち みほこ / Mihoko Takeuchi

明治学院大学経済学部卒業後、西武百貨店入社。紳士服飾部、特別顧客チームを経てフリーライターに。その後、編集プロダクション・カデナクリエイトを設立。流通業で培った顧客視点で執筆を行っている。共著に『図解&事例で学ぶビジネスモデルの教科書』『クイズ 商売脳の鍛え方』など。最新著に『課長・部長のための労務管理 問題解決の基本』(カデナクリエイト著・マイナビ出版)。

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