祝日をリストラ・追加するならどの日か? 母の日なんていらない

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勤労感謝の日、敬老の日、体育の日にできること

たとえば勤労感謝の日は搾取される労働者の権利保護や、労働者の生産性向上、所得税減税など、国民の大多数を占める労働者の質を高め、また処遇を改善するための施策を毎年総括する記念日であるべきではないか。

敬老の日も、単に連休で旅行して終わるのではなく、現在の日本の発展を築いてくれたご老人の皆様の努力に敬意を払い、介護問題や維持可能な年金制度の整備、また独居老人や孤独死の問題に関し、全国民的に取り組む日であるべきであろう。

体育の日も、中高生時代は運動会などをしていたが、別に成人すれば体育の日だからと言って、別に何があるわけでもない。これは運動を通じて健康を維持することの大切さを国を挙げてキャンペーンする日にして、一過性の運動イベントをするだけではなく、健康増進に関連するスポーツビジネスのベンチャーに予算を振り分けたり国庫から投資する日にして、スポーツ産業の中長期的な振興に寄与する日にしてほしい。

季節関連では、春分の日や秋分の日、夏の日はあるのになぜ冬の日はないのか。またこれら季節シリーズの休日は、なんといっても連休でなければ使い勝手が悪いので、土日につながるよう、固定制ではなく変動制で、たとえば第二週末後の月曜日、という形で季節関連の観光業の助けになるような設定方法にするべきだ。

日本の豊かな伝統文化を大切に思いをはせるという意味では文化の日の中身について、もっと伝統芸能をその日たくさん無料で公演するなどすべきではないか。ほかにももろもろの祭日があるが、既存の祭日の延長線ではなく、ゼロベースで国民の祭日を決めるとしたら、何日間、いつ、何を記念して、どんな教訓を思い起こし、どんな予算を用意してどのような全国的イベントを開催するだろうか。これを考えることは自分自身の社会的問題意識の優先順位を意識することにつながるだろうし、諸問題に対するアイデアを国民的につのる良い機会にもなるであろう。

言い換えれば、あなたはどの祭日を不要と判断してリストラし、その代わりどの祭日を必要として追加するだろうか。その判断基準は何だろうか。少子化問題を問題視するなら、バレンタインデーを祭日化して全国的に合コン・お見合いイベントをシンガポール政府がそうするように日本でも国を挙げて推進すればいいと思う。

また女性の社会進出を記念する日として、育児施設の充実や保育所増設の推進、職場男女差別への監視を強めたり、世界で虐げられている奴隷状態にある女性の救出を支援する“女性の日”を設けてもよいだろう。繰り返されるバブル経済とその崩壊への警鐘として過剰流動性や大きすぎる借入への教訓を再確認する日として、リーマンショックの日だと少しローカル感がないので、長銀破たんの日を選んでもよいのではないか。

ちなみにグローバルエリートの弟子である私ならば、我が師・グローバルエリートによる名著、『世界中のエリートの働き方を一冊にまとめてみた』の発刊記念日である12月24日を「グローバルエリートの日」と定めて、社会および人材、教育システムのグローバル化を進める記念日にするだろう。

それではいよいよ出勤時間が近づいてきたので、こよいはここまでにさせていただく。曇り空でやや小雨がやまないが、相変わらずヴィクトリア湾のエメラルドグリーンは今日も綺麗に輝いている。ぜひ次の祭日には、香港でも訪れになってみてはいかがか。ホテルはちょっと高いが、やはりマンダリンオリエンタルの古い本館が最もおすすめだ。それでは、私たちの社会により意義深い祭日が増えることを祈念しつつ、筆を置かせていただこう。

ブラザー・キム

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東洋経済オンライン「グローバルエリートは見た!」およびびベストセラー「世界中のエリートの働き方を一冊にまとめてみた」の著者の後継者。香港を拠点に世界を飛び回り、コラムを執筆する。

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