中東の真ん中で「京都」に出合った これが日本のインバウンド政策に欠けている視点だ
もともと海外旅行は金銭的に余裕がないと楽しめない贅沢なものでもある。国連世界観光機関(UNWTO)の2012年統計によると、UAEは住民1人当たり年間2万2000ドルを旅行に費やしているという。
日本の航空会社は中東に路線を張っていないが、エミレーツ航空はドバイと成田空港、羽田空港、関西国際空港を結ぶ路線を運航。UAEの首都アブダビへは、エティハド航空が成田、中部国際空港から就航(中部発着便は北京経由)。カタール航空も成田と関空からドーハへの直行便を運航する。
意外と多い中東からの訪日客
つまり、これらのネットワークを使って、中東から日本にアラブの富裕層を呼び込み、日本におカネを落としてもらう観光戦略はありうる。
京都文化交流コンベンションビューローが、京都で客室単価の高い5つのホテルに聞き取り調査したところ、2013年4月~14年3月に中東から来た観光客は約4000人と、マレーシアやインドネシアから来た客数よりも多かったという。
中東からの観光需要に対して日本の関係者があまり熱心でないのは、イスラム教の対策が必要になるという側面はある。たとえば、豚肉料理や調理用のアルコールを含めた酒類の禁止といった、いわゆる食事のハラル対策が必要になる。それでも日本が観光立国を目指していくのであれば、まったく無視してしまっていい地域でもないだろう。
石油や天然ガスの生産で潤う中東の富裕層は、本当に裕福な暮らしをしている。そんな彼らに、治安がよく、観光資源も豊富な国である日本は魅力的な旅行先の一つになりえるだろう。日本の観光産業はみすみすチャンスを逃してしまっているのではないか。中東の真ん中で「京都」にしか出合えなかったのは、日本人の1人として何だか残念な気がした。
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