観光大国フランスの“巧妙な集客術” 旅行者数は日本の10倍、なお拡大に“執着”

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(トゥールーズ市街の中心にあるキャピトリウム)

世界トップの観光大国、フランス。歴史的遺産、緑の多い大自然、多様な芸術作品、そしてワイン、チーズをはじめとしたおいしい料理――。海外からの訪問客を引き付ける要素は枚挙にいとまがない。

日本も、そうした“観光資産”だけみれば、フランスと遜色ないはずだが、海外からの旅行者数では日本のほうが大きく後れをとっているのが実情だ。先頃、フランスで開催された旅行業界向けの見本市でも、その人気ぶりを裏付ける巧妙な仕組みが垣間見えた。

景勝地ツアーとセットの見本市、商談アポは2万件超も

3月26、27日の2日間、フランス南部の都市トゥールーズで開催された見本市「ランデブー・アン・フランス」。国レベルの観光担当機関、フランス観光開発機構(アトゥー・フランス)の主催で行われる、業界関係者向けではフランス最大の見本市だ。

フランス全土から680の参加者(地域や都市の政府観光局、ホテル、文化名所、テーマーパーク)が集い、世界各国から厳選された900人の旅行業界関係者と集中的に商談を行う。商談アポは約2万2300件に上る。いずれも同見本市では過去最高の数字となった。

見本市の直前には、体験ツアーもセットされている。3泊ほどかけて、トゥールーズおよび国内各地のユネスコ世界遺産など、名所・旧跡、手工業や芸術品の制作現場などを、何グループかに分かれて文字どおり“観光”する。ツアー参加者は425人以上。現地を目で見て体験すれば、旅行商品組成のための商談もスムーズに進み、関係者も帰国後の説明や宣伝に説得力を持たせることができるとの趣旨からだ。

欧州からの参加者がほぼ横ばいなのに対し、南米やロシアからは増加。日本から参加した旅行業者も前回に比べて2割近く増え、2日間で30~40件以上の商談をこなしていた。

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