観光大国フランスの“巧妙な集客術” 旅行者数は日本の10倍、なお拡大に“執着”

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独ベルリンのITBや英ロンドンのWTBなど、規模ではランデブー・アン・フランスを上回る国際的な旅行見本市はある。ただ、事前ツアーも含めると「これだけの規模で業界関係者向けの商談会を開催する国はなかなかないだろう」(日本の大手旅行会社)という。

観光は農業など上回り仏GDP比でトップの一大産業

フランスにとって、観光業は重要産業のひとつだ。農業立国、あるいはルノーなど自動車、さらにはエアバスを軸とした航空機製造なども著名だが、GDPに占める割合では観光業が約7%でトップ。

海外旅行者の年間受け入れ数は総人口(約6500万人)を上回る8000万人超。渡航地での飲食や買い物などを含めた観光支出の国際収支でも、フランスは一貫して、年間100億ユーロ以上の黒字を続けている。

欧州経済の停滞にも負けず、2012年の海外旅行者の宿泊総数は前年比2.7%増、観光収入は同4.3%増の340億ユーロと堅調さをキープしている。見本市に訪れた地元(トゥールーズの隣、リュニオン)出身のシルヴィア・ピネル手工業・商業・観光業大臣(写真中央右側)は、記者会見で「観光業がフランス経済の発展の中心にあるのは紛れもない事実だ。政府は観光業に対して年間20億ユーロの予算を計上する努力をしている」と表明。観光産業に懸ける政府当局の期待の強さをのぞかせた。

大切な日本人客、日本語パンフで魅力をアピール

どの地域を訪れても、それぞれに魅力があるのがフランスの強み。とはいえ、外国人観光客は首都のパリに一極集中する傾向があることも事実。そこで今年は、パリに近い北西部ノルマンディーと、南西部ミディ・ピレネーの2地方を重点プロモート地域に設定し、積極的にPRしている。

日本でも3年目を迎えた「感動大国、フランス」キャンペーンでも、地下鉄や地下通路での全面広告などで両地方をイチ押し。見本市がミディ・ピレネー地方の中心都市トゥールーズで開催されたのは偶然だが、同地方からの出展者は多かった。

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