採用面接で「血液型を聞く」のはなぜ、NGなのか ビジネスマンが注意したいステレオタイプ

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こうしたお互いを知るということは、多様性を認め合う、という今の時代の大切な行動になります。ですから「ステレオタイプな質問はイカン」と何でもフタをしてしまう必要はありませんし、それではさすがにはちょっと窮屈ですよね。

多少客観的になってみて、相手を「こうなんでしょ?」と断定するのではなく、「どうなんですか?」と興味を持っているという態度で接すれば、気分を悪くする人はいないのではないかと思います。むしろ自分について質問を受けた場合、喜んで説明したい、と思うケースのほうが多いのではないでしょうか。

冒頭のカナダの例で言いますと、よく聞かれるのは「カナダってやっぱり寒いんですか?」ということです。このイメージはほぼ正解です。前述のとおり、カナダの国土は広大です。それをみて羨ましい、と思われる日本人もいるようですが、実際に大都市といえる規模で人が住んでいる地域は南端のエリアで、アメリカ国境に張り付くように暮らしています。南端、といっても冬にはマイナス10度以下になります(私自身、自宅の近くでマイナス50度まで経験したことがあります)。

さまざまな意見が組織を強くする

相手のバックグラウンドについて質問することは、もう1つ面白い効果があります。

自分が所属しているコミュニティについて質問され、実は知らないことだった、という経験はありませんか。例えば「富士山の頂上にある神社なのになんで『浅間大社』というの? 浅間山と関係あるの?」なんて質問に答えられる日本人はそんなに多くないのではないでしょうか。少し調べたところ、「あさま」という言葉は古語で「火山」という意味があったという説が有力なようです。

ビジネスでも同様ですね。私の勤めるレノボは、経営幹部のトップ10が6つの国籍の人物で構成されています。これはたまたまこうなったというわけではなく、異なる意見をぶつけ合うことで改めて自分の強みに気がついたり、あるいは改善すべき点に気がつくというプロセスを重視しているためです。

レノボは中国で創業しましたが、国際化していく過程で多くのことを学んだのは、こうしたさまざまな違うバックグラウンドを持った人たちからでした。いわば、自分と異なる立場の人は、自分にはない知識を持っているということをレノボは自身の歴史の中で知ったというわけです。これは個人の立場に置き換えてぜひ取り入れたい考え方です。

10月に入り、清々しい季節になりました。実は芋煮会の絶好のシーズンなんです。11月に入るとちょっと米沢では野外のイベントは寒くなりますので。今年はコロナ禍で会社の芋煮会は中止となってしまいました。来年は米沢で山形の仲間とご当地自慢の芋煮を囲みたいものです。コロナの1日も早い終息を祈ります。

デビット・ベネット テンストレント最高顧客責任者

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David Bennett

1979年にジャマイカで生まれ、カナダ国籍を持つ。カナダトロント大学大学院卒。早稲田大学にて日本語を習得、学習院女子大学大学院にて日本古典文学を学ぶ。東京でコンサルタントとして社会人キャリアをスタート。AMD社コーポレートバイスプレジデント、および同社のレノボアカウントチームのゼネラルマネージャーを務め、コンシューマー、コマーシャル、グラフィックス、エンタープライズプラットフォームなど広範な事業を手掛ける。2018年5月レノボ・ジャパン社長に就任、2022年6月から現職。古典文学が好き。

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