著作権「補償金」と学者の不適切な関係

著作権「補償金」と学者の不適切な関係

DVDレコーダーなど録音録画機器の購入者が徴収されている私的複製の補償金。その廃止・拡大を議論する場で、権利者団体と学者との不適切な関係が明らかになった。
(週刊東洋経済2月23日号より)

 携帯音楽プレーヤー「iPod」にも著作権の補償金を課すべきか。それとも補償金制度自体を撤廃すべきか--。文化庁の私的録音録画小委員会で議論される私的録音録画補償金制度の行方に注目が集まっている。ところが、その小委員会に参加する学者と補償金管理団体との間に不適切な関係があることが、本誌の調べで明らかになった。

舞台となるのは、社団法人の私的録画補償金管理協会(SARVH)と私的録音補償金管理協会(SARAH)、著作権情報センター(CRIC)。一方で小委員会メンバー20人のうち国立大学教授2人と私立大学教授1人の計3人が、前述の団体と金銭的な関係を有しているのだ。

中立立場は保たれるか 文化庁の人選に疑問

私的利用のための複製は著作権法で認められている。ただ音楽家や俳優など権利者は、デジタル録音録画機器による複製で音楽CDなどの売れ行きが減っているとして経済的不利益を主張。1992年に法改正され、私的複製を認めたうえで録音録画機器や記録媒体から補償金を徴収する制度をスタートさせた。

 右図のように、2006年度の補償金総額は約36億円。MDなど記録媒体には1枚数円、DVDレコーダーなどでは1台数百円が徴収され、消費者は知らぬ間に負担している。補償金はSARVHとSARAHが集約、全体の8割を権利者団体に分配する。残りの2割は共通目的基金に使われている。

 この基金とは何か。補償金を徴収したとしても、消費者が実際に誰のコンテンツをどれだけ私的複製したかは把握不能だ。権利者団体はCD販売量などの調査を基とするが、中央計画型の分配は正確性を欠く。そこで補償金の一部(2割)を権利者共通の利益となる事業に使おうと始めたのが共通目的基金だ。

 先述の学者3人はこの基金と関係がある。SARVHとSARAHは共通目的基金を3事業に活用するが、そのうち委託事業は主な振り向け先がCRICとなっている。SARVHの委託事業は年22~23件あり、すべてをCRICに委託。その額は06年度1・7億円、07年度1・9億円に上る。SARAHも07年度約5000万円と、委託事業の半分をCRICに配分する。

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