学術会議の「任命拒否問題」に潜む次の問題点 国立大学の学長人事に波及する恐れもある
国内の科学者を代表する機関「日本学術会議」が推薦した新会員候補のうち、6人を菅義偉首相が任命しなかった問題が波紋を呼んでいる。
日本学術会議は1949年、政府から独立して職務を行う「国の特別機関」として設立された。行政、産業および国民生活に科学を反映、浸透させることを目的としており、政府に対する政策提言を行うことなどが役割だ。
初めての任命拒否
人文・社会科学や生命科学、理学・工学からなる約87万人の科学者を代表する機関であることから「学者の国会」とも呼ばれる。210人の会員と約2000人の連携会員からなる。会員の任期は6年で、3年ごとに半数が交代する。
日本学術会議法は「優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦」(第17条)し、日本学術会議の「推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」(第7条第2項)こととされている。
上記のプロセスに基づき、日本学術会議は8月31日に新会員候補105人を推薦したが、10月1日に任命されたのは99人。6人が任命されなかったことが明らかになった。学術会議事務局によると、現在の制度になった2004年以降、日本学術会議の総会での決議を経て推薦された候補者が任命されなかったのは初めてだ。
任命されなかった6人は安全保障関連法や共謀罪を創設した改正組織犯罪処罰法に反対の立場をとった学者たちとされており、「学問の自由への政治介入だ」との批判の声があがっている。
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