「大学院進学か就職か」迷う就活生に伝えたい事 「もっと勉強したい」と思ったらどうすべきか

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であれば、大学院に行くことが将来進みたい業種における仕事においてどの程度プラスに働くのか、つまりその業種におけるjasmineさんにとっての将来の選択肢、例えば就職や転職における会社選びや自分が適正と思える報酬を得るうえでのリアルな選択肢をより増やすことに寄与する行動であるか否かを考えることがいちばん大事です。

一般的には、やりたい仕事があるのであればいち早く経験を積むべく、いち早く仕事に従事したほうがよいとも思えますが、理系のどの分野かはわかりかねますので断言はできません。

MBA(経営学修士)のように一度社会に出て経験を積み、その経験をベースにまた勉強をすることが前提の経営学の分野とは異なるのだと推定します。

いずれにせよ、その分野において大学院に行くことの利点をご自身でキチンと判断をされるのがよいと思います。

「勉強したいと思ったときにしたほうがいい」と周りの方に言われたとのことですが、勉強は社会人になってからも誰もが継続しないといけないものですし、きれい事を抜きに言うと、勉強の目的は仕事につなげるためです。職業専門学校としての位置づけも一部ある大学院であればなおさらです。

勉強とはすなわち将来に対する先行投資なのです。学費もそうですが、数年間という自分の時間を投資するわけですから、明確なリターンを求めつつ、覚悟を決めていくべき事です。

したがって、大学院に行くという行為としての投資に対するリターンを冷静に見極めないといけません。

進路は「幸せな人生を生きる手段」だ

jasmineさんとして考えるべきは大学院に行くことが将来のリターンを高める結果につながるか否かです。大学院への進学が業界におけるよりよい会社に就職や転職するにあたって有利に働くのか、入社後のポジションや待遇はどうなのかはもちろん、そもそも論として大学院で学んだことが仕事にどの程度生かせるのかなど、考えるべき要素はたくさんあります。

その大学院の卒業生の進路や業界で活躍している人たちの顔ぶれや経歴からもいろいろと判断できることでしょうし、卒業生の大学院卒業後の進路について大学院側にもいろいろと質問をしてみるべきです。

ちなみに将来のリターンというと報酬などの金銭的なことかと思われてしまうかもしれませんが、もちろんその視点も大事ですがより大事なのは、ご自身が幸せだと思える人生を生きるということです。自分がやりたいと思ったことをできる、またはやりたくないことをできるかぎり避けるような選択肢を持てるポジションを構築できるかということでしょう。

そもそもお金を稼ぐ、という場合のお金も人生における選択肢を増やすための手段です。経験を積んだり勉強をするのも同様に、人生における職業上の選択肢を増やして、より自分が幸せだと思える人生を送るための手段です。

したがって、手段同士(大学院に行くか就職するか)のみの比較には意味はなく、その先のゴールにその手段がどういった影響を与えるのか、という視点が大事なのです。

就職と進学双方の将来に対するインパクトという視点でぜひ考えてみてください。jasmineさんがご自身の将来の選択肢をより増やす行動を選択され、憧れの業種で活躍されるであろうことを応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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