中国製「医療用資材」輸出ブームから供給過剰へ

新規参入のマスクメーカーは淘汰の危機に

新型コロナウイルスの世界的大流行のなか、中国の医療用資材メーカーは生産能力を急拡大した(写真はイメージ)

新型コロナウイルスの世界的大流行は、中国の医療用資材メーカーに空前の輸出ブームをもたらした。9月24日、医療機器業界のフォーラムで講演した中国商務省対外貿易局の張春法・二級参事官によれば、2020年3月15日から9月6日までの間に中国が全世界に輸出した医療用資材はマスク1515億枚、防護服14億着、ゴーグル2億3000万セット、人口呼吸器20万9000台、赤外線体温計8014万台に上った。

では、この秋から冬にかけて新型コロナの大規模な流行再燃が起きた場合、医療用資材の輸出はさらに伸びるのだろうか? この問いに対し、上述のフォーラムに出席した大手衛生材料メーカーの穏健医療用品の李建全・董事長(会長に相当)は、過度の楽観ムードに警鐘を鳴らした。

「仮に世界的流行の第2波が到来しても、(第1波のような)爆発的な需要拡大は起きない。多くの国の政府がすでに十分な量の医療用資材を備蓄しており、さらに自国内での生産を国策で強化しているからだ」(李氏)

マスクの生産能力は1日当たり10億枚

李氏によれば、最近は医療用資材への引き合いが徐々に減少しており、供給不足はほぼ解消された。市場が落ち着きを取り戻すなか、一時は高騰した価格もコロナ流行前の水準に下がりつつあるという。

一方、輸出ブームを背景に新規参入が相次ぎ、業界のプレーヤーは急増した。中国医薬保健製品輸出入商会のデータによれば、輸出先の品質評価機関の認定を取得した中国の医療用資材メーカーは4月25日時点では93社にすぎなかったが、9月22日時点では3129社に膨れ上がった。

本記事は「財新」の提供記事です

例えば中国のマスクの生産能力は、業界の調査データによれば新型コロナの流行前は1日当たり2000万枚だった。それが4月末には5億枚に増え、8月末にはさらに10億枚に倍増した。「既存メーカーの拡張と新規参入組の急増で、業界全体の生産能力が過剰になってしまった。単にブームに便乗して立ち上げたマスク工場は、今後は淘汰が避けられない」。李氏はそう指摘した。

(財新記者:湯涵鈺、邸寧)
※原文の配信は9月26日

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