おいしくなった?冷凍ラーメン超絶進化の裏側 キンレイ「お水がいらない」シリーズ人気のワケ

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キンレイの場合はこうした業界全体の技術進化に加えて、自社の調理技術の進歩もあって大きく躍進したのだろう。

家庭用ラーメンといえば、インスタントラーメンという時代が長く続いた。店で食べるものと、家庭で食べるものは、別物で当たり前と思っていた人も多いだろう。とくに出汁は、手に入りにくい豚骨や鶏ガラを使って何時間も煮込む必要があるなど、家庭で店の味を再現するのは容易ではない。

主婦層の取り込みにも成功

ところが冷凍ラーメンでは近年、麺の食感や味わいはもちろん、出汁も専門店の味に近づけた商品が増えている。ネットなどでも冷凍ラーメンの味わいを評価する声は少なくなく、そもそもそうした素地がある中で、コロナによってより多くの人が冷凍ラーメンを試したことで、一段と需要が伸びているのだろう。

スーパーに置かれるようになって、主婦客の取り込みにも成功した。福田氏は「女性は1人でラーメン店に入れない方が多く、そうした方々に冷凍ラーメンが支持されています。また、小学校高学年以上になるお子さんもラーメンが好き。受験生の夜食としても人気があります」と話す。

ラーメン専門店は1990年代以降、女性を意識したデザインの店が増えた。しかし、それでもなお男性の店というイメージを持ち、1人で、あるいは子連れでは入れないと思っている女性がまだまだ多いのだ。そうした層の潜在需要を、冷凍ラーメンが掘り起こしたという側面もあるようだ。

また、コロナ禍のステイホーム期間中は、冷凍食品全体の需要も伸びている。今、冷凍食品はピザやコロッケなどの洋食、和総菜にたこ焼き、焼きおにぎり、中華など、さまざまな料理があり、野菜などの素材もバラエティ豊か。

冷凍ラーメンがそうだったように、初めて食べてみて、「これなら一から作らなくてもおいしい」「家で作ったことがなかったこの食品が気に入った」「これなら冷凍素材で十分」と思ったものがあれば、引き続き購入する人もいるだろう。コロナ禍は、冷凍食品の市場を拡大したといえる。

阿古 真理 作家・生活史研究家

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あこ まり / Mari Aco

1968年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。女性の生き方や家族、食、暮らしをテーマに、ルポを執筆。著書に『『平成・令和 食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)』『日本外食全史』(亜紀書房)『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた』(幻冬舎)など。

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