ワクチン、作れても輸送が難しいという大問題

マイナス80度の超低温輸送をどう実現する?

各国が開発に力を入れている新型コロナウイルスのワクチン。しかし、開発できたとしても、輸送に関する問題をクリアしないといけない。写真はアメリカ・コーニング社が開発した超低温にも耐えられる新しいタイプのガラスを用いた容器(写真:Corning via The New York Times)

新型コロナウイルスのパンデミックを終息させるには、多くの課題を乗り越えなくてはならない。製薬会社が安全で効果的なワクチンを開発するだけでなく、数十億という人々からワクチン接種に同意を取り付ける必要もある。

だが、もっと実務的な問題が存在する。ワクチンを入れた小さなガラス容器を、真冬の南極なみの低温を保ったまま数千マイルも離れた場所に輸送しなければならなくなりそうだからだ。

逃れられない足かせ

現在開発が進む主なコロナワクチンの多くは、容器詰めされてから患者の腕に注射する準備が整うまでの期間、摂氏マイナス80度という超低温で保存する必要がある。

これは簡単ではない。ある大陸で製造されたワクチンは別の大陸に出荷されることもある。接種が行われる病院や施設に届けるには、物流拠点を何カ所も経由することになるのだ。

アメリカではまだ保健当局から承認されたワクチンは存在しないが、大規模接種の準備は着々と進められている。ワクチンの配布には、軍と連邦政府の契約業者が関与する見通しだ。そして多数の関連企業は今、数億回分ものワクチンを超低温保存する方法を見つけ出そうと奔走している。

航空機、トラック、倉庫には冷凍庫を備え付け、ガラス容器は超低温に耐えられるものとしなければならない。ドライアイスの大量生産も手配する必要がある。

「われわれは輸送面の複雑さを理解し始めたところにすぎない」と、シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のJ・スティーブン・モリソン上級副所長は指摘する。「この問題を避けて通ることはできない。超低温管理の厳しい要求が、ワクチン利用の足かせとなる」。

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