1.学ぶことそのものによって得られる喜び
ジョブズにとってのカリグラフィがこれに当たる。学ぶこと自体が楽しければ、学習効果は飛躍的に高まるし、学んだことの意味が繋がる日も早く訪れることだろう。
学ぶこと自体が楽しくない場合は、思い切って興味・関心のある分野に学ぶ方向を変えるか、あるいは喜び以外の効用を見つける努力をすべきだろう。
2.将来役立つ知識・技術を得る
自分の将来の仕事と学んでいることを関連付けて考えることができていれば、学ぶことの意味を考えて戸惑うこともなくなるだろう。
その場合、意識しなければならないのは、「工学部だからメーカー」というように、今学んでいることによって、将来の仕事を限定するのではなく、就きたい仕事を自由に思い描き、その仕事で自分が学んでいることをどう生かせるか考えることだ。もしかしたらあなたが学んだことはその職についている人の中で一般的ではないがゆえに、ユニークな成果を残せるかもしれない(カリグラフィがコンピュータの設計に役立つなんて考えた人は当時誰もいなかっただろう)。
3.学んだことを示すシグナルを得る
資格や学歴などがこれに当たる。シグナルがあれば、自分の専門や得意分野を示すのに説明は少なくて済むし、特定の職業や仕事に至っては、シグナルを得て初めて就くことを許される場合もある。
ただ、気をつけなくてはならないのは、シグナルを得ることと、職を得ることは別の問題ということだ。組織はシグナルだけでなく、後に述べる本人が身に付けた思考力・行動力も合わせて見ているからだ。
4.学ぶ過程で得られる思考力・行動力・交友関係
これは、学ぶことで得られる最も重要な効用だ。関連する文献を調査し、仮説を立て、検証する。また、論考や実験の結果を周囲にわかりやすく伝える。こういった学ぶことを通じて得られる思考力や行動力、交友関係は、仕事にも人生にも役に立つ。
思考力や行動力・交友関係を身に付けるためには真剣に学ばねばならない。ある学生は、国際金融に関する専門的な研究をするために特殊なコンピュータが必要だったため、多額の予算獲得を学長に直接掛け合ったそうだ(実際にその願いはかなえられた)。また、そのコンピュータを有効活用するために、研究室の枠を超えたサークルを作り、自主的な勉強とケーススタディに取り組んだという。真剣に学ぶことは、多くの思考や行動、交友関係を伴なうものだ。
以上、学問することによって得られる効用についてまとめてみた。学ぶことで得られる効用は1つ、2つに限定されるものではない。
自分は何のために学ぶのか。定期的に自分に問いただし、全力で学んでいただきたいと思う。
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慶應義塾大学商学部卒。株式会社ジョブウェブの事業部長として、数十社の採用コンサルティング及び、各種リサーチ、教育研修コンテンツの作成に取り組んだ後、独立。
現在は著述業ほか、複数のソーシャル・プロジェクトの実行を手掛ける。
ブログ:人と組織と、fukui's blog
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