過眠症に苦しむ人を「薬規制」がなお悩ませる訳

モディオダールの処方厳格化ははたして妥当か

「そのほか、発達障害や概日リズム障害、うつ病などでも過眠が生じることがあります」(立花さん)

診断では、まず問診で睡眠時無呼吸症候群や慢性的な睡眠不足の有無を疑い、そのうえで、夜間の睡眠状態や無呼吸をみる「終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)」や、昼間の眠気をみる「反復睡眠潜時検査(MSLT)」などを行う。

「ナルコレプシーでは、本来ならば脳の眠り(ノンレム睡眠)の後に訪れる体の眠り(レム睡眠)が、睡眠直後に生じるといった特徴的な眠り方をします。PSGやMSLTではこの眠りの特徴を調べることができます」(立花さん)

薬を適切に使うことで睡眠発作を抑えられる

ナルコレプシーの治療で欠かせないのが、薬物治療だ。睡眠時間の調整など、眠りに関する環境を整える非薬物療法との両輪で効果を発揮する。先の川崎さんは「昼間の眠気は薬で抑えられないので、定期的に仮眠をとる必要はありますが、薬を適切に使うことでいきなり寝落ちするような睡眠発作は抑えられています」と話す。

実は今、こうした川崎さんらナルコレプシー患者の治療薬をめぐって、混乱が生じている。第一選択薬の「モディオダール(モダフィニル製剤)」が規制されることが決まったのだ。これにより、今後は一部の医師しか処方できなくなる。

この状況に危機感を強めているのが、患者会の「NPO法人日本ナルコレプシー協会(なるこ会)」。副理事長の駒沢典子さんは言う。

「規制で、これまでどおり処方してもらえなくなる可能性が出てくる。とくに過眠症を診てくれる医師が少ない地方在住の患者さんにとっては大問題です」

規制の詳細は後述するが、なぜこんなことになったのか。事の発端は、今年2月のモディオダールの特発性過眠症への適応拡大だ。立花さんが解説する。

「実は、特発性過眠症は病態も含めて解明されていないところが多く、慢性的な睡眠不足で過眠を訴えるケースとの鑑別がつきにくいのです」

このことから、「単なる睡眠不足の人に安易にモディオダールが処方されること」を、厚生労働省は危惧した、というわけだ。事実、特発性過眠症の適応拡大のために実施された治験に関する議論の中でも、「適応外の患者に使われている事例がかなりあった」ことが指摘されている。

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