半年ぶりのイタリアで見た「コロナ対策」の現状 現地の感染対策にみた日本との違いとは?

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検疫所からもらった書類によると、成田空港各ターミナルからホテルを循環する検疫所運航のバスが1時間おきに運航しているということで、それを待つ。バスは比較的大型の観光バスタイプ。運転席回りは簡単に飛沫処理がされていた。私が乗ったバスには私を含め3名の乗客がおり、それぞれ違うホテルへと順番に送迎となる。

バスに乗る際は陰性結果の通知をドライバーに見せる(筆者撮影)

ドライバーによると、それほど混雑することはないが多いときは20人ぐらいがバスに乗るという。このように陰性ということでいったん出国してしまえば、後はすべて本人の自主性に任されることになる。

ヨーロッパと比較してみるなら、成田空港では、かなりしっかりした入国者に対する水際対策がなされていることを感じた。その後のフォローに関しても、任意ではあるが電話番号を登録すると2週間の間、毎日健康状態の確認の自動音声電話がかかってきて、その情報は当該の保健所と共有されるという。

日本も来月より新規入国者を受け入れる方向であるという報道が見られる。これから日本へ入国する人数がどんどん増えてきた場合はどうなるのであろうかという疑問も残る。システマチックには動いているが、一方でかなりのマンパワーも検疫所では要求される。大人数への対応は現在のシステムでは現実的ではないだろう。

求められる海外渡航に関する最新情報の提供

今回の出張を振り返ってみて、コロナ禍ということで、不安を感じることはまったくなかったし、世界中が全力でシステマチックな対応ができるよう努力していることがよく理解できた。

日本人の海外渡航に関してはいろいろな意見もあるであろうが、なにより外務省の定めた渡航に関する条件に従うことが、日本国籍を持った人間として重要であろう。であるから、この時期、観光などのために海外へ出るということは勧められるものではない。

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しかし家族、仕事など、個人が抱えているさまざまな状況も考慮すべきであって、何が何でも海外へ出ること=悪としてしまうのも違うように思う。そのためにも、より海外渡航に関する具体的、かつ最新の状況がわかりやすく手に入るような状況になることが望ましい。

私は自宅に戻り、2週間にわたる自主隔離中である。これも人によりけりではあるが、在宅ワークが可能な身にとってはさほど厳しいハンディでもないかもしれない。

※状況は日々変化していますので、渡航に関しまして、最新情報を取得されますようお願いします
越湖 信一 PRコンサルタント、EKKO PROJECT代表

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えっこ しんいち / Shinichi Ekko

イタリアのモデナ、トリノにおいて幅広い人脈を持つカー・ヒストリアン。前職であるレコード会社ディレクター時代には、世界各国のエンターテインメントビジネスにかかわりながら、ジャーナリスト、マセラティ・クラブ・オブ・ジャパン代表として自動車業界にかかわる。現在はビジネスコンサルタントおよびジャーナリスト活動の母体としてEKKO PROJECTを主宰。クラシックカー鑑定のオーソリティであるイタリアヒストリカセクレタ社の日本窓口も務める。著書に『Maserati Complete Guide』『Giorgetto Giugiaro 世紀のカーデザイナー』『フェラーリ・ランボルギーニ・マセラティ 伝説を生み出すブランディング』などがある。

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