さて、イタリア国内のコロナ対応はというと、想像するよりも相当にルールは厳密であった。小さな店舗では店内に入るのは1人もしくは1組のみと決められており、ほかのお客たちは外で一定の距離を保って待っている。
前述したよう、あらゆるところにお互いが向き合わないための注意書きと移動する方向をしめす指示があり、結構不便だ。例えば巨大なミラノ中央駅においても出入り口は厳密に分かれており、一方通行ゆえ、長い距離を遠回りしなければならないし、もちろんしっかりと監視されている。
鉄道においても、車両内は完全に一方通行だ。 矢印が書かれており、入口と出口が明確に分かれている。特急列車等の指定席においてはかなり間引いた席の配置がしてあるし、普通列車でも、皆、距離をわきまえている。
リスキーと感じたディナータイム
しかしディナータイムになってみればどうであろう。これは大都市か、地方の小都市かによってもだいぶ違ってくるとは思われるが、イタリアの常で、平日にもかかわらず市街にあるレストランは多くが夜遅くまで大にぎわいだ。
ここだけを見ればコロナの影響はほとんど感じられない。やはりこういった環境の中でも、食べて語って楽しんでということは彼らにとって欠かせない。であるから、このディナータイムは結構リスキーなものであると感じた。飛沫防止のパーティションのようなものはほとんど見られないし、テーブルとテーブルの間隔も今までとほとんど変わりないし……。
街中ではほとんどの人がマスクをしており、以前のように、私たちがマスクをしていると、後ろ指を刺されたというようなことはまったくない。公共の大きな場所、ならびに大きなイベントでマスクをしていないことはありえないし、さまざまなところで体温測定がなされる。
現地イタリアの友人は言う。「イタリア人にとっては厳しくルールを作らないと。そこから逸脱しがちだ。だからこのくらいの状態がちょうどいい。しかし状況は大きく変わっている。かつては感染するとすぐに重症となり死へと直結する場合も多かったが、 現在ではそこまでシリアスではない。陽性となっても重症にはならない人が多いのは救いだ」と。
しかし、現在はさまざまな補助金が出ている為、なんとかしのいではいるが、これからは経済的なダメージがとくに雇用の面で大きく出てくることを彼らは憂えている。それに何より寒くなり、またウイルスの被害が強くなることを恐れているのはわが国と同様だ。
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