東京電力と東京ガス、一緒にやるのが最適 東京ガス・広瀬道明社長に聞く

拡大
縮小

ただ、事業となるとリアリティが必要だ。これなら、というものを今後1年ぐらいで見通しを立てたい。首都圏でのガス事業を通じて長年蓄積してきた約1100万件に及ぶ顧客との関係、地盤をどう使えるかがカギになるだろう。

――現状、電力料金はどんどん上がっている。東京ガスが参入することで料金は安くできるのか。

顧客の関心が最も高いのはやはり料金だろう。規模の大きい東電と同じことをやっていては安くできるわけはない。ガスと電気の検針や点検をまとめてやってシナジーを出すなど、イメージとしてはある。それを事業として現実性のあるものに詰めていく。小売り事業者として登録することが参入だとは思っていない。ある程度、東京ガスから電気を買ってもらって初めて参入したことになる。

――NTTファシリティーズ(40%)、大阪ガス(30%)、東京ガス(30%)が共同出資で運営している新電力最大手のエネットは、家庭向け小売りを含めどう発展させていくか。

エネットはこれまで大口向けしかやっていないが、いろいろ貴重なノウハウや実績を持っている。これからも活躍の場はあると思うし、当社もエネットのできないようなところをカバーしていくことになるだろう。

――新たにM&A(合併・買収)で電力小売り業務を強化するという戦略は。

理屈のうえではありえる。ただ、家庭向けの電力小売りでは、ライフバルというチャネルがあるので、まずはそこから考えていきたい。ここは今のところガスだけしかやっていないが、実際に顧客と接触しているのは彼らなので、そのチャネルを活用するのはいちばんいいのではないかと考 えている。

石炭火力発電所新設を検討

――電力供給力としては現状、ガス火力発電所が横須賀(1基24万キロワット、出資比率75%)、袖ケ浦(1基10万キロワット、同100%)、扇島(2基81万キロワット、75%)、川崎(2基84万キロワット、49%)の合計約200万キロワットある。これを20年までに500万キロワットまで増やす目標を掲げている。

ベースは自前の発電所だが、時間の制約もあるため、今回合意した3月末に合意した神戸製鋼所からの電力購入契約(約120万kw、19年から)のようないい話があれば、他社からの購入も考えていく。また、今回の電力システム改革では卸市場の活性化が謳われており、卸市場からの調達もありうる。

――JFE、中国電力と首都圏で石炭火力発電所を新設するという話も出ている。

その話は別として、現在いろいろな業界の企業と話をしている。当社は特に石炭火力についてはノウハウがない。ベースロード電源として石炭火力もそれなりに必要と考えており、他社と共同での発電や、他社からの購入などを検討している。

次ページ気になる東京電力との関係
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT