東京電力と東京ガス、一緒にやるのが最適 東京ガス・広瀬道明社長に聞く

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これまでの需要ありきの硬直的な調達が、(LNGの)値段が高い一因だったのかもしれない。供給に合わせて需要を変動させたり、世界へ転売(トレーディング)したりするといったオプションを持てば、安く叩いて買うとか、安いときに買うといった調達の柔軟性が持てる。今後はそういう方向になっていくだろう。

――LNG調達などで国際連携を組めば、さらに強力になる。

可能性としてあると思う。電力、ガスというのは各地域に限定された地場産業であり、原燃料の調達では国内勢で連携してやってきた。だが、今後はアジアの他のLNG消費国である韓国、台湾、中国、インドなどと一緒になって、「アジアプレミアム」と言われる高い価格を抑制しようと考えるようになるかもしれない。

――東電の数土会長も国際感覚の重要性を強調している。「包括的アライアンス」が国際色を帯びる可能性も十分あるのではないか。

国際感覚の重要性というのは、ガスを含めてエネルギー業界全体に向けて、言われているのかもしれない。われわれも反省すべきだと思うが、2020ビジョンでは総合エネルギー企業とともにグローバル企業というコンセプトを打ち出しており、首都圏をベースにしながらも少しずつ世界へ事業を拡大させていきたい。

ガスでは新規参入業者に負けない

――電力自由化の一方、ガス全面自由化では新規参入業者を迎え撃つうえでのカギは何か。

 ガス事業のほうでは守る側だが、そんな簡単に顧客を奪われるとは思っていない。トータルな価格(平均料金)では負けないと思っている。ただ、(新規参入業者によって)いろいろなメニューが出され、部分的に当社より安い料金が出てくる可能性はある。それに対して、われわれが築いてきた信頼や保安やサービスでいかにカバーしていくかだ。

――ガスで発電する家庭用燃料電池エネファームや工場のコージェネ(熱電併給)を自由化時代にどう位置付けているか。

 当社では発電とは別に、燃料電池やコージェネを通じてかなり昔から関わってきた。エネファームやコージェネはまさに大きな意味で電力とガスをつなぐものだと考えている。われわれは昔から地産地消の分散型電源でエネルギー効率が高いものとして、コージェネに取り組んできた。

 09年に市場投入したエネファームは累計販売台数が3万台で、価格的にもだいぶ下がってきた。現状は、メーカーも住宅メーカーも当社もみな赤字。今しばらくは政府の支援(補助金)も必要だが、20年までには一本立ちできるようにしたい。

中村 稔 東洋経済 編集委員
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