東京電力と東京ガス、一緒にやるのが最適

東京ガス・広瀬道明社長に聞く

この4月に電力自由化に対応するための「事業革新プロジェクト部」を新設した。どういうスキームで電力小売り事業へ参入するか、今年いっぱいをメドにシステムや商標、顧客への説明、人の育成も含めて検討している。やるべきことが多すぎて、正直、時間が足りないぐらいだ。

――社長としてプロジェクトチームに対し特に指示していることは。

部の10人のメンバーだけではできないので、社内の関係するスタッフ全員が協力する体制にしている。当社の営業チャネルであるライフバル(地域サービス窓口)の方々の意見も十分聞いて、関係する部とも横串を通しながら、とにかくスピード感を持ってやるように指示している。

ひろせ・みちあき●1950年10月生まれ。74年、早稲田大政経卒、東京ガス入社。執行役員総合企画部長、取締役常務執行役員、副社長を経て14年4月より現職。

――企業向け小売りと家庭向け小売りのどちらに重きを置くか。

それはプロジェクトチームの大きな課題だ。限られた電源をどう振り分けていくのか、大口と小口、業種別などいろいろと検討している。

大口のほうが効率的で参入しやすいという見方もある。制度的にはすでに大口向け小売りは自由化されており、16年の全面自由化を機にむしろ大口の市場が活性化し、競争が活発になるとの見方もある。

一方、家庭向けは、これまでは制度的に販売はできなかった。ただ16年からは販売できるようになる。電気も東京ガスから買いたいという顧客がいれば、それはありがたい話なので、何とかお応えできるようにしたい。

――家庭向け電力小売り参入に向けた課題は。

小売りが家庭向けまで及ぶと顧客の数が急増するので、システムが複雑になる。ガスのシステムをそのまま使えるわけでもない。電力用のシステムを新たに作るのは結構大変だ。

また、家庭用の場合、当初のスイッチングコスト(顧客の契約切り替え費用)がかさみ、料金で回収するにはかなり時間がかかる。そのコストをいかに安く抑えるかがポイントになる。ガスの場合も同様で、もし当社から新規参入業者へ契約を替えたいという顧客がいれば、きっちり対応しなくてはならない。

首都圏1100万件の顧客基盤をどう活かすか

――現状、電力小売り市場における新電力(特定規模電気事業者)のシェアはわずか3%台。どれくらいのシェアを取れると思うか。

あれだけ巨大で歴史もある大手電力会社がある中で、そんなに簡単に多くの顧客を獲得することはできないと思っている。電源を確保し、営業体制も構築したうえで始めるが、まだどれくらいのシェアを取れるかはわからない。

”ガス屋”なりの付加価値やシナジー(相乗効果)をリアリティのある形で提供していきたい。電力とガスをセットで提供したり、通信も一緒にしたりするなど、アイデアはいろいろある。

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