運動する人「ワクチン効きやすい」という新事実 運動選手を対象にした研究でわかったこと

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しかし、結局のところ、激しい運動が免疫に影響するのか、また、ワクチン接種への反応によい効果をもたらすのかに関しては、多くの疑問が残ったままだった。

そこで、ドイツのザールランド大学などの科学者たちが、新たな研究を実施しようと、大勢の有力な運動選手に声をかけ、ワクチン接種を受けてくれるよう依頼した。これは意外にもかなり難しいことだ。調査によると、トップクラスの運動選手は、インフルエンザなどのワクチン接種を受ける割合が相対的に低いという。副反応が出て、トレーニングに影響することをおそれるからだ。

しかし、なんとか男女合わせて45人の、若くて健康なトップ選手を集めることができた。彼らが専門とするスポーツは幅広く、マラソンなどの持久型のスポーツや、レスリングやハンマー投げなどパワー勝負のスポーツ、バスケットボールやバドミントンといったチームスポーツなど、さまざまだった。協力した運動選手全員が、競技シーズン中だった。

運動選手の血液から多くの免疫細胞

彼らを調査対象とした2つの研究のうちの最初のものは、1月に学術誌『脳と行動と免疫(Brain, Behavior, and Immunity)』に発表された。この研究の狙いは、運動選手であることと、その人並外れた体力によって、インフルエンザの予防接種に対する免疫反応が促進されるのか、あるいは妨げられるのかを見定めることだった。研究者らは比較対象のため、健康ではあるが運動選手ではない25人の若者も集め、運動選手とそうでない被験者の全員から血液を採取した。

その後、この若者たちはインフルエンザの予防接種を受け、腕の痛みなどの副反応を各自で記録した。1週間後に再び研究室で採血し、2週間後と6カ月後にも採血した。そして、研究者たちは彼らの血液中の抗インフルエンザ抗体と免疫細胞を調べた。

その結果、運動選手の血液からは、はるかに多くの免疫細胞が見つかった。特に、予防接種から1週間後、細胞反応がピークを迎える頃に、その傾向が顕著だった。ザールランド大学の免疫学者で、この論文の共同執筆者の一人であるマルチナ・セスターによると、運動選手は「より明確な免疫反応」を示しており、そのためインフルエンザの感染をよりよく防御できると考えられるという。

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