コーセー、ポーラが注力する「私だけの化粧品」 肌やヘアケア商品で人気が再燃、異業種も参入
実際に診断を受けた女性は、「今まで乾燥肌だと思っていたが、意外にも肌の水分量は多かった」と驚く。ポーラ商品企画部の鈴木若葉氏によると、「7割の人が自分の肌を誤解している」という。つまり、肌の悩みと自分が思っている原因は一致していないわけだ。
期待の高まるパーソナライズド化粧品だが、普及に向けた課題は残っている。
先述したSpartyからOEM製造を受託するサティス製薬社長の山崎智士氏は、既存の化粧品との違いとして「バリューチェーン」を挙げる。既存の化粧品は商品を大量生産してから販売しているが、パーソナライズド化粧品は消費者からの注文を受けてから初めて製造に取り掛かる。しかも少量多品種が基本となるため、大量生産もできない。
大量生産・販売が通用しない
商品の受注から納品までのリードタイムも違う。今までは需要を予測し、商品を在庫としてストックしていた。ところがパーソナライズド化粧品は、受注から数日のうちに製品を製造し、発送する必要がある。
化粧品メーカーでは大量生産を前提にした製造ラインや販売の仕組みができあがっている。パーソナライズド化粧品ではそれが根本から異なるため、「ソフトもハードも(パーソナライズド化粧品用に)専用の設備を整える必要がある」(山崎氏)。
30年以上にわたってパーソナライズド化粧品事業を継続してきたポーラはこの点をどうクリアしているのだろうか。詳細は明らかにしていないが、製造に関しては少量生産の専用ラインを整えて効率化を図ったという。
なお、パーソナライズド化粧品では商品数が大幅に増えるため、品質や安全性の管理も煩雑になる。ポーラは成分の似通ったアイテムを美容部員などが2週間ほど試して安全性や効能をチェックする「個対応テストを行って解決している」(商品企画部の鈴木氏)という。
ポーラが現状として認識しているのは、「パーソナライズドの波は数年に1回来るが一過性のもので終わってしまっている」(APEXブランドマネージャーの田村明子氏)こと。過去のブームでは期待を超える満足を継続することやパーソナライズであるがゆえに口コミに頼れず、大きなうねりを生み出せなかった。はたして現在のブームは本物になるか。
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