コーセー、ポーラが注力する「私だけの化粧品」 肌やヘアケア商品で人気が再燃、異業種も参入

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ベンチャー企業のSpartyは2018年5月、パーソナライズドヘアケア商品「MEDULLA」を発売。さらに2020年5月にはパーソナライズドスキンケア商品「HOTARU PERSONALIZED」を市場に投入した。

MEDULLAの2020年4月の売り上げは前年同月比で倍増の4億円。会員数は21万人で毎月3万人増のペースで広がっている。

ロート製薬も2019年10月、パーソナライズ化したシャンプーやトリートメントなどのヘアケア商品「CONSTELLA」を子会社から発売した。アプリでの自己診断と美容師による診断を総合して商品を作る。

同分野における国内の先駆者が化粧品大手のポーラだ。1989 年からパーソナライズドスキンケアブランド「APEX」を展開している。将来予想されるシミへの対応やニキビケア分析など進化を重ね、1人ひとりの肌分析の結果に基づき、その人にあった化粧水や日焼け止めを製造・販売している。

肌の動きで肌の内部まで推定できる

2019年にブランドを大幅刷新し、肌診断から結果が出るまでの時間は従来の約2週間から3分へと大幅に短縮された。最大の要因は診断技術の進歩にある。今までは角層を採取し、静岡県袋井市にある肌分析センターに郵送していた。それが新たに導入された技術と機器により、その場で以前と同レベルの診断結果が得られるようになった。

グループ会社のポーラ化成工業が開発した分析技術では、肌の動きから肌内部の状態が推定できるようになった。タブレットに向かって、口を大きく開けたりすぼめたりし、動画を約14秒間撮影するだけでいい。肌分析カメラはソニーと共同開発したものを大幅刷新時に導入した。

肌分析カメラを使って肌の状態を分析する。蓄積された肌データは1870万件を超える(撮影:尾形文繁)

分析の詳細さには驚かされる。肌の「色・形」という項目では、水分やメラニンの量だけでなく、肌の老化の原因となる糖化の状態などもわかる。それらが5段階で評価され、顧客はスマートフォンで確認できる。

年代別や居住地域別での平均値も示してくれるため、自分の数値と比較できる。居住地域はポーラが肌分析のために58地域に独自分類したもので、例えば、宮城県仙台市と熊本県阿蘇市、北海道稚内市と栃木県日光市がそれぞれ同じ地域区分だ。天候や地形などの違いで日本気象協会と相談して決定。気圧や日照時間、水蒸気密度などをもとに、同じ条件の地域を分類している。

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