前例がない問題でも答えを導き出せる「図頭」力 「AIに負けない本物の思考」の身に付け方
図に文字を添えることもありますが、文字数は少なめがいいです。そして極力、文章は避けたいです。あったとしても、できれば、体言止めで抑えるくらいが望ましいと思います。
なぜなら、「図で考える」とは、文字も含めてイメージで理解しようとする試みだからです。できるだけ「右脳的に」です。ここでは文章を読んで理解する思考プロセスは最小限にとどめたいものです。
言葉の選択を考え抜くべき理由
ただ、言葉はすごく効率的な「記号」であることも確かです。言葉には言葉のパワーがあります。とくに本質をえぐり出すようなキーワードが見つかったときの威力は絶大です。思考がうまく結晶化されるし、コミュニケーションも円滑化します。それゆえ、キーワードを使う場合は、言葉の選択をできるだけ考え抜くべきです。
例えば、一時期、「現場力」や「見える化」という経営上のキーワードがはやりました。もともとトヨタの経営現場から生まれてきた言葉ですが、「現場」に「力」をくっつけたことで、現場に内在する能力がハッキリと意識されるようになりました。「見える」に「化」をつけることによって、見えないものを見えるようにしていくプロセスに光があたりました。これがキーワードの持つパワーだと思います。
線には「つなぐ」「囲む」「分ける」役割があります。
「分ける」と「囲む」は本質的に同じですが、書き出したものをグルーピングし、意味のある塊を炙り出してくれます。一段、抽象度が上がり、木を見ただけでは見えなかった森の特徴が見えてきます。
また「つなぐ」は、大事な関係性の見える化です。相関や因果が、つなぐことでより明確になります。つまり線を使うことで、構造や因果がハッキリとしてくるのです。
私は、関係性の強さを「線の太さ」で表現するようにしています。図を描いているとき、「この関係性が重要だ!」と思うと、ペンを何度も往復させ、その線を太くするのです。手を往復させている間にも、その関係性の重要性を頭に定着させていきます。それが次の思考につながったりします。
「コツその3」の線を太くするのも強調の1つですが、大事な要素を強調することで、思考にメリハリを加えられます。
このときに、赤や青の色を使うのは効果的です。たくさんの種類の色はいらないですし、どの色をどんな意味に使おう、と明確に決めなくていいと思います。ただ、同じ1枚の紙の中では、同じ目的には同じ色を使うほうがわかりやすいとは思います。例えば、大事なことは赤。まだまだ考え抜かないといけない要素は青とか、といった具合にです。
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