アフガニスタン支援へ50億ドル拠出、民衆に届く支援を実現できるか

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復興支援は民衆に届くのか

50億ドルをどう使うのか。「まだ具体的に決まっていない。これから中身を検討する段階」(政府関係者)。

これまでの例から推測すると、日本が国連や世界銀行などの国際機関に拠出するほか、独自に復興支援を行うことが考えられる。

国際機関に拠出された資金の多くが米国とカルザイ政権のコントロール下に入る公算も強い。米国とカルザイ政権はタリバンを壊滅させる強硬路線と同時に、和解を通じて現政権の安定を図る両面作戦を追求している。タリバン系の勢力や現政権に敵対的な部族長を「買収」する資金として、日本の拠出金が使われることも否定できない。実はそれが米国の真の狙いかもしれない。

しかし、厳しい財政状況の中、50億ドルを拠出するからには、アフガニスタンの民衆にきちんと届く援助をしてもらいたいと、日本の納税者が願うのは当然のことだろう。

だが、現地で復興支援したことのあるNGO(非政府組織)関係者のの話を聞くと、とても一筋縄ではいかない厳しい現実が待っている。

まずカルザイ政権の腐敗と機能不全。さらに独特の部族社会に起因する賄賂や汚職の横行が指摘できるだろう。

たとえば日本のNGOが学校を建設したときの出来事。政府関係者や部族の有力者が建設費を各段階で懐に入れる姿を目撃したという。ところが、これはアフガニスタンの伝統的な価値観では悪いことではなく、当たり前だという。

あるNGO関係者は、「カンボジアでも復興支援を経験したが、そこでは建設の指揮をとるエンジニアをNGOが監視すれば何とか作業が進行したが、アフガニスタンでは末端まで監視しないと不正を防ぐことができなかった」という。

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