会社の人事管理は適正に機能しているか?
書評:『企業の人事力』(林 明文著)
人事部以外から人事部長に抜擢
本書には新しく知ることが多い。読み始めると第1章のタイトルに「人事は遅れた分野」とある。一般社員から見て人事は遠く捉えがたい部署であり、しばしば「奥の院」と称されることがある。権力を持っているのだが、その権力が見えにくい。なぜ見えにくいのか?
本書を読んで、人事は感覚的であり、可視化が遅れた分野と知った。現代の人事部門は年功序列的人事制度による人件費の高騰、平均年齢の上昇による職場の沈滞、髙業績者や若手の離職という現代病を抱えている。これらの多くは過去から発生している問題だ。
過去には問題でなかったが、経営環境が変化して問題化した。しかし今の人事部門では十分な対応ができない。そこで人事部長を人事内部から昇格させない企業が増えているそうだ。
営業部門などの第一戦で活躍した人材を人事部長に据えることが多い。大規模なリストラを実施する企業ほど、この傾向は強いと著者は指摘している。
日本企業の人事施策が驚くほど非効率で非合理な例として、著者は“2:6:2的発想”に基づく人事管理を挙げている。「優秀な社員」「標準的な社員」「優秀でない社員」が2:6:2の割合にする人事管理だ。自然現象の出現頻度でも、真ん中に山がある正規分布が起こる。
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