中野 不思議なことに、あまり話題になりませんでしたね。
渋澤 うん、本当なら1面トップ記事になってもおかしくないと思うんですよ。
勇気がなさ過ぎる、上場企業の経営者
中野 今の日本の金利情勢は異常ですからね。消費者物価指数が1.4%の上昇なのに、長期金利は0.6%しかないのですから。物価上昇率も含めて考えれば、完全なマイナス金利です。
渋澤 金融市場の存在意義は価格調整機能にあるのですが、それが壊れてしまったということですからね。5月病なら一時的なもので済みますが、市場の機能が回復するのかどうか、非常に気になります。
中野 とにかくおカネが動かないことには、経済は回りません。先日、経済同友会主催のパネルディスカッションに参加したのですが、一緒に登壇した上場企業の経営者が怒っていました。その方が言うには、「今の日本の経営者は投資行動を取らなさすぎる。勇気がない」とのことでした。
藤野 確かに、多くの日本企業は投資不足ですね。内部留保が高水準であることからも、それはわかります。なぜ、投資しようとしないのか。理由はいろいろあると思うのですが、根本的なところを言えば、四半期決算の弊害が出ているのだと思います。四半期決算だと、どうしても経営者の目線が短期になりますからね。
どうしても長期的な投資をしなくなる。しかも、上場企業の社長って、2期4年務めたら交代というのが一般的ですから、自分が務めている時には成果が出ないような、長期的な投資をするくらいなら、何もせずに大過なく過ごせれば良いと考えている人が多い。これでは投資行動が盛り上がるはずがありません。
中野 今の製造業が使っている生産設備って、いまだに高度経済成長期のものが少なくない、っていうじゃないですか。これでは、最新の生産設備を使っている海外の製造業に太刀打ちできないし、円安が進んでも輸出にドライブをかけられず、トップラインを伸ばす勝機も逸してしまいます。
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