トヨタ、今期業績「横ばい」の意味するもの

前期最高益から踊り場に

「今期は意志を持った踊り場だ」ーートヨタ自動車の豊田章男社長は終始、慎重な姿勢を崩さなかった。

同社は5月8日に2014年3月期の決算を発表した。営業利益は前期比7割増の2兆2921億円となり、リーマンショック前の2008年3月期に記録した最高益を6年ぶりに更新。「トヨタ復活」を印象づけた。ところが、同日に公表した今2015年3月期の営業利益計画は2兆3000億円と、前期比でほぼ横ばいにとどまる。当期純利益は2.4%減益になる見通しだ。

ここ数カ月、トヨタの株価は5000円台半ばで停滞。PER(株価÷1株当たり利益)は10倍を割っており、5月8日時点では日産自動車やホンダを下回っている。株式市場はトヨタの成長力を疑問視しているのだ。前期の最高益はある程度織り込み済み。今回の決算発表で、トヨタに期待されていたのは、さらなる業績の拡大だった。にもかかわらず、なぜ横ばいの見通しを発表したのか。そこには、トヨタの反省がある。

無理な拡大が危機を招いた

トヨタの前期の販売台数は、ダイハツ工業、日野自動車を含む連結ベースで911万台。持ち分法適用の中国など含むグローバルでの販売台数は1013万台で、自動車メーカーで初の大台にのせた。

ただ、豊田社長は「1000万台という未知の世界で成長し続けるためには、身の丈を超えた無理な拡大は絶対にしないという覚悟が必要だ」「1000万台の今のトヨタと600万台の以前のトヨタでは成長の意味が全く異なる」と1000万台の経営の難しさを強調する。

1990年代後半からトヨタは成長戦略を加速。高い数値目標を掲げ、毎年のように世界各地で工場を立ち上げた。世界生産台数は2000年から2007年までに年平均で約50万台伸ばした。「台数が急増し、会社が急成長した裏側で、会社の成長スピードに人材育成が追いつかず、従業員や、関係者の皆様の頑張りに依存した無理な拡大を重ねた。リーマンショックによる赤字転落や、大規模リコール問題もそうした中で起きた」(豊田社長)。

次ページ成長への高いハードル
自動車最前線の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 世相をリアルに映し出す 流転タクシー
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 最新の週刊東洋経済
  • コロナ後を生き抜く
トレンドライブラリーAD
人気の動画
優秀なはずの上司の下で部下が育たない根本理由
優秀なはずの上司の下で部下が育たない根本理由
面接や説明会で採用者が嫌う「9つのNG質問」
面接や説明会で採用者が嫌う「9つのNG質問」
海外マネー流入!外国人に買われた日本企業20社
海外マネー流入!外国人に買われた日本企業20社
男性も入れる?新業態『ワークマン女子』の中身
男性も入れる?新業態『ワークマン女子』の中身
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
生前贈与がダメになる<br>相続の新常識

相続をめぐる環境が激変しています。年110万円まで非課税だった生前贈与が税制改正により認められなくなる可能性も。本特集では相続の基本から、よくあるトラブルと解消法、最新路線価に基づく相続税額、さらに生前贈与の将来動向まで取り上げました。

東洋経済education×ICT