授業もサークルもない大学1年生に募る孤独感 1日中パソコンと向き合う日々が続いている

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学生からは、メンタルの不調を訴える声も上がる。筑波大学の保健管理センターで学生を診察する、精神科医の白鳥裕貴さんはこう危機感を口にする。

「毎年、春の健診でスクリーニングに引っかかる学生は5%程度。今年はウェブでの問診になりましたが、10%と倍近いです」

不調の原因で最も多いのは睡眠不足。オンデマンド型の授業はいつでも受講できるからと、生活リズムを崩しているケースが少なくない。孤立が原因の場合は、可能な限り実家で過ごすようにして、安心できる居場所の確保が大事だという。

「学生の苦境には、大学教員も心を痛めてきました。ただ前期は、教員自身もオンライン授業の整備に必死で、手いっぱいだった側面があります」

教員もオンライン授業の整備に必死

そう語るのは、関西学院大学法学部の岡本仁宏教授だ。多くの教員にとって、オンライン授業は初めて。しかも短期間での整備を余儀なくされた。岡本教授が3月末、フェイスブックに立ち上げた「新型コロナ休講で、大学教員は何をすべきかについて知恵と情報を共有するグループ」には2万人が参加し、活発な情報交換を重ねてきた。

大学が再開に慎重になる背景には、3月の京都産業大学や8月の天理大学ラグビー部の集団感染などでの激しいバッシングがある。岡本教授は言う。

「対面授業を再開した場合、感染のゼロリスクは不可能。最新の感染状況や疫学的知識に基づく公的指針が明示され、大学の負うべき現実的な責任範囲が限定されること。さらに、若者の教育を担う大学を支えるための社会的合意や支援が重要です」

加えて、学生は困ったことや不満があれば、大学に対し声を上げていい、という。

「ただし、単なるサービスの受け手としてでなく、学生と教職員が共にこの未曽有の危機を乗り越えていくために。それが大学の自治ではないでしょうか」

(編集部・石田かおる)

※AERA 2020年9月7日号

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