授業もサークルもない大学1年生に募る孤独感 1日中パソコンと向き合う日々が続いている

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コロナ禍で学生は孤立を深めています(写真:Graphs / PIXTA)
コロナ禍のなか、4月に入学して以降、一度も大学に行っていないという新入生も多い。 孤立を深めるなか、「後期は対面授業」を切望する声が上がる。大学はどう応えていくのだろうか。 AERA 2020年9月7日号から。

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「いつになったらキャンパスの土を踏めるのだろう。後期は対面授業を本当に受けられるのか」

中部地方の実家で暮らす大学1年生の女性(18)は、じりじりした思いで大学の後期授業の発表を待っている。今年4月、首都圏の大学の農学部に入学した。

当記事は、AERA dot.の提供記事です

しかし、キャンパスに足を踏み入れたことは一度もなく、写真でしか知らない。入試は地元で受験し、合格はインターネットで確認。新型コロナウイルスの感染拡大で入学式がなくなり、前期の授業は全てオンラインだった。

この間、実家で暮らし、学校近くに借りた部屋は毎月7万円の家賃だけが引き落とされていく。夏休みの今も、大学の友だちと呼べる人はいない。前期はひたすら部屋にこもってひとり課題をこなしてきた。

「体育の実技までオンラインでした。部屋でひとり、体操をしながら『何の力がつくのだろう?』とむなしくなりました」

まだ見ぬ大学への不信感と疎外感

課題が提示される場所や提出場所は、教員によってまちまち。見落として失敗しても、自己責任にされてしまうのか。なぜ学生に寄り添ってくれないのだろう。まだ見ぬ「大学」への不信感と疎外感ばかりが募る。

「後期授業も全部オンラインになったら、心が折れます……」

コロナ禍で、今春、多くの大学は入学式をやめ、学校を閉じ、オンライン授業にシフトした。「学生や教職員の健康を守りつつ、教育を提供する」ための試行錯誤のなか、新たな課題も噴出した。「大学1年生の孤立問題」はそのひとつだ。

新歓イベントをはじめ、教室での授業、サークルの勧誘など、従来、新入生が大学コミュニティーに溶け込むきっかけとなってきた出会いや交流の場が失われた。オンラインでの代替や独自のサポートをする大学もあったが、全国大学生協連の7月調査では、1年生の28%が「新しい友だちがいない」と回答。オンライン授業のみを受けてきた1年生では33%に上る。

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