授業もサークルもない大学1年生に募る孤独感 1日中パソコンと向き合う日々が続いている
7月中旬、前出の女性が「私と同じ」と胸を打たれたマンガがSNSに登場した。美大1年生のmakiさん(18)が描いた「大学生は、いつまで我慢をすればいいのでしょうか。」だ。多くの共感を呼び、「いいね」が40万件つき、17万回リツイートされた。
5月下旬、都市部の緊急事態宣言が解かれると、小中高校や飲食店は再開し、社会が動きだした。ところが大学は門を閉ざしたままで、大学生だけが社会から取り残された。
小中高校と大学の違いについて言われるのは、大学は学生が広域から通学し、万単位の人が行き交う。教室の席が固定されておらず、移動範囲も広いため、感染者が出たときに追跡が難しい。大学生は酒を飲む機会もあるため感染リスクが高い。
これに対し、makiさんはこう反論する。
「広域の移動や感染の追跡ができないことが理由で、大学生が学校に入れないのなら、なぜ『GoToトラベル』はありなのでしょうか? お酒を飲むのは、サラリーマンも同じです。いつまでも大学生だけを閉じ込めないでほしい」
保護者も危機感を募らせる
大学1年の子を持つ、保護者たちも危機感を募らせている。
「娘は朝から晩までパソコンと向き合う、実質引きこもり状態でした。こんな生活を延々続けて、社会に出てから大丈夫なのでしょうか?」(東京都・52歳)
「オンラインで講義を受けるだけなら『大学に行く意味は何?』と考えてしまいます。今後、大学選びも変わっていくのでは」(大阪府・51歳)
若者の事情に詳しい、関西学院大学社会学部の鈴木謙介准教授は言う。
「学生たちの不満は孤立以上に、自分たちが割を食った点にある。6月時点で、大学側の丁寧な説明が必要でした。いま重点的に目を向けないといけないのは、大学から離れた場所で孤立している学生や留学生たちです」
前期終了後、各大学は夏休みや後期授業の方針をホームページなどで発表した。前期は全面オンラインだった大学も、後期は対面授業を組み合わせる「ハイブリッド型」を表明しているところが少なくない。