授業もサークルもない大学1年生に募る孤独感 1日中パソコンと向き合う日々が続いている

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しかし、対面授業を実施するには、教室内のソーシャルディスタンスの確保など感染対策が不可欠。大学のキャパシティー面からも、全ての授業を対面で実施することは難しい。実習や実験を優先するなど、限定的なものになる可能性が高い。冒頭の女性の大学も、後期は週に1日程度、対面授業が受けられるようにする方針を打ち出しているが、詳細はまだわからない。

果たして、限定的な対面授業の再開だけで「1年生の孤立」や「学生コミュニティーの構築」の課題は解決されるのか。鈴木准教授は「別の手だても考えないと難しい」と言う。さらに「全面オンラインの一番の問題は『裏のカリキュラム』が失われた点にある」と指摘する。

「表のカリキュラム」は大学が提供する「学び」。「裏」はサークルなど、授業以外の学生同士の協働だ。それによってコミュニティーが形成され、授業や学校生活でわからないこと、困ったことがあったときに「縦・横の助け合い」が機能してきた。

「重要なのは『表』も『裏』も有機的に働き、不可分な関係にあることです。大学の授業はかつてと違い、一方通行の一斉講義だけでなく、アクティブラーニングなどの協働型のものが増えている。学生同士のコミュニケーションベースとなるつながりが大事で、大学も関係作りをサポートするようになっている。私自身も担当学部で携わっています」(鈴木准教授)

新入生の拠り所も脆弱になりかねない

今年の1年生が大学コミュニティーに参加しきれなければ、来年以降、続く新入生の拠り所も脆弱になりかねない。

オンライン授業は、Zoomなどを使う「同時双方向型」と、収録した授業動画やテキスト教材を好きな時間に受講する「オンデマンド型」がある。鈴木准教授は、学生の通信環境への配慮などから、教員たちはデータ容量の大きい同時双方向型の授業の抑制を求められたが、それが学生の孤立を招く一因にもつながったと指摘する。

「いつ、だれが受けているのかわからないオンデマンド型の授業が多いと、孤立感が増すのは当然です。加えて、オンデマンド型では協働型の授業は難しく、問題は大きい。解決するには、通信環境が十分でない学生が同時双方向型を受講できるよう、大学内に発話のできるパソコンブースを整備する必要がある。今後の重要課題のひとつです」

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