投資のプロが断言「日本の経営者、ここが問題」 投資の見方が180度変わる「世界の当たり前」
ケイ:まず、金利の話からいこう。金利といえば、普段の生活では「定期預金の金利」なんかを思い浮かべると思うけど、金融の世界では「国債の金利」が注目される。
姫野:金利にもいろいろあるけど、「国債」金利に注目せよというわけですね。
インフラの整った先進国では株価が上がり金利が下がる
ケイ:30年ほど前、平成の初めくらいは、世界の主要先進国の「10年国債の金利」の平均は7%以上だったんだ。今から考えると、1年7%の利回りってすごいよね。10年後の満期まで国債を持っているだけで、2倍近くまで増えるんだから。
姫野:えーっ? つまり10年で100万円が約200万円、1000万円が約2000万円に……? すごい時代ですね。
ケイ:うん。正確には税金や手数料を考慮する必要があるけれど、複利でそのように増えていった。しかし今では平均1%にも満たない水準で、欧州では「10年国債の金利」がマイナスにまでなっている国もある。
姫野:金利がマイナス!? つまり国にお金預けると、そのお金が減っていくってことですよね? どうしてそんなことに?
ケイ:金融商品はつねに、その裏側で実社会とつながっているからなんだ。
過去では国債でお金を集めて、そのお金を道路や空港や学校などのインフラ整備に使うことが世の中を豊かにしていく近道だった。そのようなインフラ投資によって、社会の物流が効率的になったり、教育レベルが上がって、社会全体の生産性が大きく高まった。国債で集めたお金の投資により、我々が産み出せるもの、つまり「社会の豊かさ」が増えたので、高い金利を払えていたわけだ。
一方、現在は国債で集めたお金は、「社会保障など人々の日々の生活」に回されることが多くなっており、「社会の生産性を高める投資」には、お金が向かいづらくなっているんだ。
姫野:なるほど。昔は、集めたお金によって社会の豊かさ自体が大きく増えていたからこそ、たっぷり利子が払えたわけですよね。
ケイ:でも、基本的なインフラがひと通りそろった先進国になったら、同じように「国債」でお金を集めてさらにインフラを整えても、社会の生産性や「世の中の豊かさ」は、正直、増えづらい。
だから、当然、投資家に返せる利子が少なくなり、金利が下がる。そういう意味では、新興国では「国債で集めたお金が社会を豊かにする余地」がまだまだあると言える。
姫野:そうか。「長い目」で見て、先進国の金利が下がっているのは、そういう背景があるんですね。
ケイ:昨今、中央銀行が大量に国債を売買して金利を動かす金融市場の中での話ばかりが注目されがちだけど、つねに実体経済での役割を考えることが大事だ。それで、ひと通りインフラが整った先進国をさらに豊かにするのは、民間企業の新しいアイデアや、起業家の「社会を変えたい」という熱い思いだ。社会がある程度豊かになった後は、「民間企業」と「株式投資」が社会を豊かにするためにより重要になるんだ。
姫野:インフラの整った先進国では、株価が上がって(国債)金利が下がるのは当然の流れなんですね。
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