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社交的な人々は「ひきこもる力」をわかってない 大勢と集まったりしない人は何をしているのか

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  • 吉本 隆明 思想家、詩人、文芸批評家
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一方、コミュニケーション力というのは、感覚に寄りかかった能力です。感覚が鋭敏な人は、他人と感覚を調和させることがうまい。大勢の人がいる中に入っていく場合、それは確かに第一番手に必要な能力かもしれません。

しかし、それは「意味」でしかない。

「意味」が集まって物語が生まれるわけですから、そういう経験も確かに役に立ちます。けれども、「この人が言っていることは奥が深いな」とか、「黙っているけれど存在感があるな」とか、そういう感じを与える人の中では、「意味」だけではなく「価値」の増殖が起こっているのです。それは、1人でじっと自分と対話したことから生まれているはずです。

「暗いこと」はコンプレックスにならない

価値を生み出すためには、絶対にひきこもらなくてはならないし、ひきこもる時間が多い人は、より多くの価値を増殖させていると言えます。

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でも、コミュニケーションということでいえば、ぜんぜん駄目だということになるのでしょうね。「あいつは鬱陶しくてしょうがない」と言われるでしょう。それでも、その人の内部では、豊かさが増えていっているわけです。ほかの人にはわかりにくいでしょうが、何かのときに、その豊かさが伝わるということがある。

「よくよく話してみたら、この人はいろいろなことを考えているんだな」と思ってくれる人も出てくるはずです。ひきこもりの傾向のある人は、暗いとか話が盛り上がらないとか、あいつと一緒にいても気心が知れなくて面白くないとか、そんなことを言われているかもしれません。

もし、それがコンプレックスになっている人がいたとしたら、それは決して悪いことではないのだということを覚えておいてください。

あなたは、明るくて社交的ではないかわりに、考えること、感じて自分で内密にふくらませることに関しては、人より余計にやっているのです。それは、毎日毎日、価値を生んでいるということなのです。

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