社交的な人々は「ひきこもる力」をわかってない

大勢と集まったりしない人は何をしているのか

一方、第二の言語は内臓の働きと関係が深い。内臓に通っている神経は、感覚器官ほど鋭敏ではありません。だから痛みにしても、例えば胃の痛みは皮膚をケガしたときに比べると鈍い。

また、他人から見て、どのくらい痛いのかをうかがい知ることも難しいといえます。例えば熱いお茶を飲んだとき、口の中ではとても熱さを感じるけれども、喉仏から下へいくとそれほど熱さを感じません。まさに「喉元過ぎれば……」ということわざのとおりです。

ぼくはそれを、下っていく間にお茶が冷めるからだと思っていたのですが、そうではなく、喉から下は感覚が半分くらいしかないのだそうです。ぼくはこのことを、解剖学者の三木成夫氏によって知りました。

内臓には、感覚的には鋭敏ではないけれども、自分自身にだけよく通じるような神経は通っている。このことは、とても興味深く、示唆に富んでいると思います。「内臓の言葉」とでもいうのでしょうか、自分のためだけの言葉、他人に伝えることは二の次である言葉の使い方があるのだということです。

大勢の人と交わることは必要か

この第二の言語、あるいは内臓の働きからくる言葉とでもいうべきものを獲得するには、ひきこもる要素が必要だということなのです。

ひきこもったりしないで、大勢の人と交わったほうが楽しいし、気分が紛れるということは確かにあります。生きていくうえで、それなりの有効性があると思います。でもそれは、感覚的な有効性であり、言ってみれば脳に直結する神経にとっての有効性です。

しかし、内臓に響くような心の具合というのは、それでは絶対に治らない。人の中に出ていって、食事をしたり、冗談話をすれば助かるということはないのです。ひきこもって、何かを考えて、そこで得たものというのは、「価値」という概念にぴたりと当てはまります。価値というものは、そこでしか増殖しません。

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