街中で「数字が名前につく銀行」が減少した背景 「ナンバー銀行」の栄枯盛衰の歴史を振り返る

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その後はしばらく安定した時代が続くが、バブル経済の崩壊によって再び統廃合が進み、銀行はさらにその数を減らした。このような次第で、明治からそのままの名称で続くナンバー銀行は、第四銀行(新潟市)、十六銀行(岐阜市)、十八銀行(長崎市)、七十七銀行(仙台市)、百五銀行(津市)、百十四銀行(高松市)の、わずか6行となっている。

このうち第四銀行は同じ新潟県の北越銀行との統合によって「第四北越銀行」に、十八銀行は親和銀行と統合して「十八親和銀行」となることが発表されており、近い将来に純然たるナンバー銀行は4行だけになりそうだ。

数字を名称としているが、明治から続くナンバー銀行ではないところもある。三重県松阪市の第三銀行は、かつて第三相互銀行を名乗っていたことから来た名称であり、明治時代にできた第三国立銀行とは関係がない。また、この第三銀行と三重銀行は経営統合により、2021年から「三十三銀行」となる予定だが、第三と三重の「三+三」からとった命名で、これも第三十三国立銀行との関連はない。

また、長野市に本拠を置く八十二銀行は、1931(昭和6)年に十九銀行と六十三銀行が合併して発足した銀行で、両者の数字を合計して「八十二」を名乗っている。もともとの第八十二国立銀行は、1897(明治30)年に第三銀行に統合されて消滅している。

「三井住友銀行」の金融機関コードの謎

銀行に関連する番号として、統一金融機関コードと支店番号についても触れておこう。銀行口座への振込を行う時に記入する、あの番号のことだ。統一金融機関コードは4桁の数字で表され、都市銀行・地方銀行・信用金庫・証券会社・保険会社など、各種の金融機関に付与されている。

統一金融機関コードの0000は日本銀行に割り当てられている。0001はかつての国立第一銀行の流れを汲むみずほ銀行だ。0002はかつて三井銀行に割り当てられており、合併によって誕生した太陽神戸三井銀行、さくら銀行がこれを継承した。

しかし2001(平成13)年に住友銀行と合併して三井住友銀行となってからは、住友銀行の番号であった0009番を用いており、0002は現在空き番となっている。こうした場合、若い番号を使用するのが通例だが、両者の合併は住友銀行によるさくら銀行の救済という面が強かったといわれる。番号にも、こうした力関係が反映されたのだろう。

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